「せっかく“いい会社”のはずなのに、毎日ぜんぜん楽しくない…」
あなたは今の職場で、「うまく言葉にならない“悩み”」を感じたことはないだろうか。「この会社で一生働くなんて無理…」「でも、他に“やりたいこと”もない…」「だから、しぶしぶ働いている…」そんな日々に「このままでいいのか?」と不安になったことも、一度ではないはず。
こんな“うまく言葉にできないモヤモヤ”を「見事に“言語化”してくれた!!」と話題なのが、新刊『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』だ。各所から共感が殺到している本書の内容に沿って、今回は「キャリアのモヤモヤ」の正体について解説する。

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「王道」から1つだけ外れてみる

「自分に合うもの」を探す発想そのものが、他人の枠組みに最適化しようとする意識の表れである。
「王道」には、多くの人が「ここにいれば成功できる」と信じて集まる。果実はおおよそ摘み取られ、残りはわずかだ。
 あとから加わる人にとっては、すでに動き出した流れに、途中から飛び乗るようなもの。ほんの少しの遅れが、想像以上に大きな差になることもある。

優秀な人ほど「王道」に惹かれる

 しかし、優秀な人ほど「王道」に惹かれやすい。「成功するには、この道しかない」と信じて、正攻法で挑もうとする。
 けれど――その場に集まるのも、同じく優秀な人たちだ。「最適解」をめぐる競争では、能力はすぐに横並びになり、個性はあっという間に埋もれてしまう。
 だが結局のところ、王道とは「誰かが用意した土俵」にすぎない。戦いが始まる前から、選べる道はすでに限られている。

狙うべきは、王道と異端の“あいだ”

 では――異端を選べば、それでいいのか?
 確かに、誰も足を踏み入れていない領域を狙えば、競争は避けられる。けれど、市場そのものが存在しなければ、誰にも届かずに終わってしまう。「誰もやっていないこと」は、「誰にも求められていないこと」と紙一重だ。
 極端に逸(そ)れることで得られる自由は、孤立のリスクと、常に背中合わせにある。

 狙うべきなのは、王道と異端という両極の、ちょうど狭間(はざま)だ。
 まずは、王道の構造をきちんと理解する。その上で、ほんの少しだけ角度をズラしてみる。
「マジョリティの中のマイノリティ」――その境界線こそが、競争を避けつつ、確かなニーズに支えられた勝ち筋となる。

(本記事は『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』の一部を編集・加筆・調整した原稿です)