リモートワークで社員の「心理的安全性」が低下、結束を取り戻せる“日本ならでは”のミーテイング場所とは写真はイメージです Photo:PIXTA

「ウェルビーイング」は、1948年の世界保険機関(WHO)設立の際に考案された憲章で、初めて使われた言葉だ。「幸福で肉体的、精神的、社会的全てにおいて満たされた状態」をいう。新しい幸せの形として用いられ、最近さまざまな場面で耳にすることが多くなった。『ウェルビーイングの新潮流』第22回では、導入する企業が増えている「オフサイトミーティング」についてお届けする。

リモートワークの浸透で減った
職場での雑談や交流

 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、多くの企業はリモートワークを導入しました。リモートワークは、通勤時間の削減や柔軟な働き方の実現といったメリットがある一方、オフィスで自然に生まれていたメンバー同士の雑談や偶発的な交流は減少しました。

 日常の中での「ちょっとした声掛け」や「ランチなどの食事を共にする」ことが難しくなり、結果として今、多くの企業で、チームの一体感や共通体験の欠如が顕在化しています。

 それにより企業が直面している深刻な課題は、「人と人とのつながりが希薄化し、チームとしての総合力が低下した」という点です。

 ZoomやTeamsといったオンラインツールは情報共有レベルのミーティングには十分ですが、人間的な信頼感や連帯感を醸成するには不十分です。

 特に新しく入社した社員や部署異動したメンバーにとって、画面越しの顔合わせだけでは、相互理解や深い信頼関係を築くことが難しくなりがちです。そのため、企業文化や価値観の共有も難しくなり、「個人商店化」した働き方が広がる傾念があるのです。

 こうした背景から、今再び注目され始めているのが「オフサイトミーティング」です。都会のオフィスを離れ、非日常の空間でチームが集まり議論や交流を行う取り組みは、欧米を中心に以前から行われてきましたが、近年は日本企業もその効果に目を向け、導入する事例が増えています。