
企業の採用予定数は5年連続で拡大。売り手市場下でますます早期化・長期化が進んだ2026年新卒就職・採用戦線。特集『2026年就活戦線』(全6回)の#1では、企業と学生双方の視点からデータとともに振り返る。(ダイヤモンド・ヒューマンリソース 経営企画室 室長 高村太朗)
学生が「初めて内定を獲得した時期」は3月以前が半数以上となり、就職戦線は前倒しが進んだ。一方で内定獲得後も活動を続ける学生が増加し、長期化傾向も浮かび上がる。
ダイヤモンド・ヒューマンリソースが行った採用アンケート調査(企業対象)では、採用人数を「増加」する企業は24.3%で、「減少」する企業(12.6%)を11.7ポイント上回った。少子高齢化による労働力不足を背景に企業の採用意欲は引き続き高く、コロナ禍以降5年連続で採用予定数は拡大した。
一方、学生を対象としたダイヤモンド就活ナビ就活意識調査では、調査時点の内定獲得率は86.4%と高い水準を維持。平均ウェブ(プレ)エントリー数は41.0社、受験企業数は15.4社で、2.87社の内定を獲得している。これは調査開始以来最多となった2025年卒(3.15社)からは減少しているものの、少ない受験企業数で多くの内定を得る「売り手市場」の継続が鮮明となった。
就職・採用活動の早期化にも拍車が掛かった。学生が就職活動を考え始めた時期は「大学3年の4月」(32.4%)が最も多く、「4月まで」の合計は初めて4割を超えた。企業へのプレエントリーを始めた時期も、夏インターンシップ類への応募開始が増える「大学3年の6月」までに全体の6割を超えた。
政府の「就職・採用活動に関する要請」では「広報活動を大学3年次の3月1日以降、採用選考活動開始を大学4年次の6月1日以降」としているが、企業が選考を開始した時期は「12月以前」(26.4%)が最多となり、2月までに選考を開始した企業は62.6%に上る。内定開始時期も12月以前(20.0%)がピークとなっており、2月までに内定出しを開始した企業は47.6%と半数に迫る。それぞれ25年卒までは「3月中」が最多であったことを考えると大幅に前倒しで進んだことが分かる。