前年46位(15.2点)から47位(13.7点)に転落し、最下位となったのは埼玉県。点数が3年連続で減少した。観光意欲度も最下位(29.1点)で、特に西日本からの観光意欲が低いのが顕著だ。
とりわけ課題となっているのが「食」のイメージで、「食事がおいしい(6.6%)」では6年連続最下位となっている。
「うなぎ料理店数が全国トップクラスだが、食文化としての認知が広がっていない。2019年開業の『ムーミンバレーパーク』や、映画『翔んで埼玉』で一時的に順位が上がったものの、長続きはしなかった。また、若年層の居住意欲度も前年から低下している。
ブランド総合研究所が実施している『幸福度調査(※4)』において、埼玉県民自体が埼玉県への魅力や愛着を感じている人が少ないという結果がある。今回の魅力度ランキングで埼玉県が初めて47位(最下位)となったことを踏まえて、地元住民みんなで県の魅力を再認識し、その魅力を他県へ発信していくことが必要だろう」(田中社長)
昨年最下位だった佐賀県(14.9点)は、45位(15.4点)と、2ランクアップする結果となった。46位は茨城県(14.3点)で、昨年の45位(16.0点)から順位を落とした。下位3県の顔ぶれは昨年と変わらず、順位が入れ替わった形である。
20周年で見えてきた
ランキングの変遷と今後の展望
「都道府県魅力度ランキング」は、この20年、社会の出来事や時代の価値観に左右されながら推移してきた。
「地域の魅力に対する評価は、時代の節目ごとに大きく変わってきた。産品やグルメから始まり、震災では応援、地方創生では若者の関心、コロナ禍ではデジタル発信が力になった。これからはSNSやインバウンド、産業振興といった要素がさらに強く影響していくだろう」と田中社長は振り返る。
実際、今年の調査では20~30代で評価が上昇した一方、40代以上は横ばいにとどまり、世代間の認識の差が鮮明になった。上位常連の北海道、京都府、沖縄県の伸び率が伸び悩むなか、神奈川県や奈良県などの躍進が象徴的である。
田中社長は「20周年を迎えた今年を節目に、次の10年でどの地域が新しい魅力を打ち出してくるのかが楽しみだ」と展望を語った。
(フリーライター 西嶋治美)