スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

【元グーグルがお答えします】「スマホ依存」にならない方法って、この世に存在する?Photo: Adobe Stock

文字にして初めてわかる、異常さ

「スマホ依存」という言葉を、最近特に耳にする人が多いのではないだろうか。

 私は、自分がスマホ依存だと思っている。

・休日のスクリーンタイムは12時間以上
・友人と話していても、気づいたらスマホの画面を開いている
・上司が真面目な話をしていても、ラインの通知の方が気になる
・タイムラインを更新しきっていても、まだ新しい投稿があるはずだとスワイプし続ける
・テレビでYouTubeを流しながら、手元のスマホでもYouTubeを流す

 文字にして初めてわかる、この異常さ。普通にやばすぎる。

 間違いなく、立派なスマホ依存だ。

 でも、スマホ依存にならない方法って、この世にあるのだろうか?

 というか、SNSを生み出してきた人たちって、どうしているのだろう。

「医者の不養生」みたいな感じで、グーグル社員がスマホ依存だったりするのだろうか。

 もしくは、デスゲームの主催者みたいに、スマホ依存に悩む人たちを見て娯楽にしているとか……?

元グーグル社員が編み出した、「スマホ依存」にならない方法

 グーグル出身のジェイク・ナップとユーチューブ出身のジョン・ゼラツキーが、多忙な毎日を乗りこなすための戦略をまとめた『とっぱらう』には、こう書いてある。

かつて僕のスマホは、まるで『指輪物語』の指輪がビルボ・バギンズを呼ぶように、ポケットのなかからいつも僕を呼んでいた。ほんの少しでも退屈を感じたその瞬間、まるで魔法のように手のひらにスマホが現れたものだ。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 全然そんなことなかった。むしろ、スマホ依存に悩んでいた。

「お前もかい」という感じだが、エリートと共通の悩みをもっているということが、私はまず嬉しい。

 そして、この本には「スマホ依存」にならない方法も書かれてある。

僕らは2人とも2012年から「気が散らないiPhone」を使っている(p.152)

「気が散らないアイフォン」にすることだそうだ。それって、牛丼の牛肉抜きみたいなこと……?

 本書によると、以下の手順で「気が散らないアイフォン」は完成するそうだ。

①「ソーシャル系アプリ」をとっぱらう
②「その他の無限の泉アプリ」をとっぱらう
③「メールアカウント」をとっぱらう
④「ウェブブラウザ」を無効にする
⑤「それ以外のすべて(天気アプリや、マップなど)」を残す

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 字面を見ただけでもわかる。私の「牛丼の牛肉抜きみたいなもの」という推察は、恐らく当たっている。

 SNSだけでなく、無限の泉(広告でしか見ないようなゲームに、意外とハマってしまうことがある。そんなアプリを指すそうだ)や、メールのアカウント、ブラウザをとっぱらうことで、「気が散らないアイフォン」は完成するらしい。

 さすがにメールのアカウントまで消してしまうのは、最初からギアを上げすぎだと思うので、一度シミュレーションをすることにした。

 私の場合だと、これがこうなる。

【元グーグルがお答えします】「スマホ依存」にならない方法って、この世に存在する?

 す、すごい……。

 これだったらまだ、私の祖母が持っている高齢者向けのスマホの方が面白そうに見えてしまう。

最初は1つや2つとっぱらうだけでもいい

「気が散らないアイフォン」を知っても、アプリを消すのは不安だと感じる人も多いのではないだろうか。

スマホの設定からメールアカウントも削除してしまおう。
脅すような警告が表示されるかもしれない(「本当にメールアカウントを削除していいですか?」)が、ひるんではいけない。気が変わったときのために、必要なアカウント情報を記録しておけば大丈夫。

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 そうですか……(アカウント情報を保存できるとわかっていても、いざアプリごと消すとなるとビビってしまうのが人間の性なのでは…)

もちろん、気が散らないiPhoneは万人向けじゃない。SNSもブラウザもメールもないスマホなんてどうかしていると思う人もいるだろうし、僕らより自制心が強い人がいることも認める。(中略)僕らほどあからさまな注意散漫の問題を抱えていない人も、スマホのデフォルトを変更すれば、さらに集中しやすくなる可能性が高い。
だから、すでにスマホをコントロールできているという人も、短い実験のつもりで、気が散らないiPhoneを試してほしい。使い続けなくても、デフォルトを見直す機会にはなる。

――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 でも、「スマホの機能を減らす」のは、たしかに理にかなっている気がする。

 SNSの種類が増え、新製品が発表されるたびに機能が追加されていて、スマホのアップデートが改悪だとキレるタイムラインを想起すれば、その通りかもしれない。

 何も、全部をとっぱらう必要はない。

 最初はアプリを1つ2つ消してみるだけでも、生活がかなり変わる気がしている。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに作成しました。)