スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の人生を取り戻す「完璧な習慣」』より、特別に一部を紹介する。

スマホ中毒者が、SNSで孤独を埋めなくなった驚きのワケPhoto: Adobe Stock

仕事をするフリも煩わしいほどのスマホ依存

 読者のハリエットの体験談はもっと極端だ。

 ハリエットの散漫クリプトナイト(=ほんの数分のつもりが、1時間費やしたあとでむなしい気持ちになるもの)はフェイスブックで、それもただ気が散るだけでなく、危険な依存状態だった。

「全部のメッセージに返信しなくてはといつも焦り、スマホに釘づけだった。私の仕事スペースは人から丸見えなのに、仕事をしているふりをする気もなくなっていた

たったこれだけで、「段違い」にしあわせになる

 このままじゃいけない、とハリエットは気づいた。

 とりあえず1週間、フェイスブック断ちをすることに決め、すべてのデバイスからフェイスブックのアプリをとっぱらった

 もちろん簡単ではなかったが、1週間が終わるころには、もう戻りたくなくなっていた。

「戻ることを考えただけでゾッとしたから、もう1週間断つことにした。2週間が2か月になり、かれこれもう10か月になるわ」

 フェイスブックをやめることに支障がなかったわけじゃない。

 友人たちはフェイスブックで集まりを企画することが多く、例外を認めなかった。

「完全に友人の輪から外れてしまった。自分で会を企画するときも、昔からの友人としか連絡がとれない。といっても、数か月に何回かのことだけど

 それでも彼女は戻らなかった。

「いろいろあったけど、いまのほうがずっとしあわせ。劇的に、段違いにしあわせ。どん底まで落ち込んだころは、脳をコントロールできなくなったかと思った。情報を見逃そうが、計画が多少面倒になろうが、自分の心を取り戻せた喜びを思えばなんでもない」

いったん抜け出せば、すがすがしい気持ちになれる

 フェイスブックをやめたことで立ち消えになった友情と、強くなった友情があると、ハリエットは言う。

 彼女に本当に会いたいと思ってくれる友人や、彼女が本当に会いたい友人は、電話やメール、ショートメッセージなどで連絡をくれた。

「べつに通信不能になったわけじゃない」とハリエットは言う。「だから、無限の泉(=スマホのアプリのように、コンテンツがたえず補充されるもの)には当面戻るつもりはない

 ハリエットがフェイスブックで経験したことはたしかに極端だが、僕らはほかにも同じような話をたくさん聞いている。

 散漫クリプトナイトから抜け出せば、すがすがしい気持ちになれる。喜びと安らぎ、自由を実感できる。

 輪から外れるのは怖いが、いったん外れてしまえば、じつは気分のいいものだとわかる。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の人生を取り戻す「完璧な習慣」』からの抜粋です)