「どうしてあんなヤツが評価されるんだ…!?」
あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化したロングセラーだ。発売直後から賛否両論を巻き起こし、「よくぞ言ってくれた」「暗黙知が“言語化”されている」「今まで気づいていなかった“新事実”」など大反響が集まっている。そんな「職場で実力を適切にアピールする“見せ方”の技術」をまとめた本書の中から「出世する人/しない人の特徴」についてお伝えする。

「電車が止まっているのに出社する人」は出世する
みなさんの職場には、「電車が止まってるのに出社している人」は思い当たるでしょうか。
今の時代、テレワークも普及し、「無理して出社しなくてもいい」という風潮が広がっています。実際、命の安全を守ることが第一であり、出社しないという判断がされてるようになってきていますよね。
しかし一方で、「電車が止まっても出社する人」が、なぜか上司からの評価が高く、出世していくことが世の中では起きてしまいます。そこには、表向きの“合理性”では説明できない、職場の“評価”のカラクリ=【サイレント減点】があるのです。
「昔は強制出社」が当たり前だった
今の若手世代からすれば、「そんな無理をしてまで出社する必要ある?」と感じるかもしれません。しかし、今の管理職世代、つまり出世してきた人たちは、まさに「無理して出社することが美徳」とされた時代を生きてきました。
台風でも、大雪でも、「どうにかして会社に来い」という空気があった時代です。電車が止まっても、タクシーを相乗りしたり、徒歩で数時間かけて出社したり。中には前日に会社に泊まったなんて人もいるかもしれません。
だからこそ、今の時代になっても、彼らの目には「来ない人」がどうしても怠けているように見えてしまうのです。
そこに悪意はなくても、「自分の時代はこうだった」という無意識の基準で、今も評価が動いてしまいます。
しかし、これを上司が指摘することはありません。こうして、「あいつは根性の無いやつだ」と、“サイレント減点”されてしまうという悲劇が起きるのです。
「現場がある人」は、何があっても出社しなければならない
実際に、社会全体で見れば「出社せざるを得ない人」もいます。たとえば、“現場がある職種”です。
僕が勤めているメガバンクもそうです。法律で「銀行窓口を開けなければならない」と定められているため、台風だろうと大雪だろうと、現場を守る人は必ず出社しています。
つまり、社会の一部には「本当に出社しなければ仕事が成り立たない人たち」が存在し、そうした人々の努力で社会が回っているのです。
評価は感情で決まってしまう
僕は「出世したいなら出社しろ」と言いたいわけではありません。ただ、ただ、「そういうふうに評価が決まってしまう現実がある」ということを、見て見ぬふりはしないでほしいのです。
評価というのは、理屈ではなく“感情”で決まることが多いです。上司が感じる「根性あるな」「頼りになるな」という印象は、数字では測れませんが、確実に評価に影響します。逆に、「安全第一で出社しなかった」という合理的な判断も、相手の価値観によっては“やる気がない”と受け取られてしまうでしょう。
これは、良い・悪いの問題ではありません。「評価の構造を理解する」とはこういうことなのです。「評価とは感情で決まる」という、社会のリアルを知っているからなのです。
(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)