「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

ボリンジャーバンドで「トレンドの初動」を見抜く
チャート分析で最も重要なのは、急騰や急落の「初動」にいち早く気づくこと。
新しいトレンドが発生した瞬間を逃さず、波に乗ることが利益を伸ばす最大のチャンスです。
窪田さんが『株トレ』の中で特に信頼を寄せているツールだと断言しているのが、「ボリンジャーバンド」です。
馴染みがない方もいるかもしれませんが、使い方を理解すれば、相場の変化を視覚的に捉えることができる強力な武器になります。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に上下に描かれる2本の線です。
上の線は「移動平均+2σ(標準偏差)」、下の線は「移動平均-2σ」で計算されています。統計的にいうと、正規分布においてデータの約95%が、この「±2σ」の範囲内に収まります。
幅が広がっている時は「株価の変動が大きい」ことを、逆に幅が狭い時は「株価の変動が小さい」ことを意味します。
では、このボリンジャーバンドをどのように使えばよいのでしょうか。
ボリンジャーバンドの「買いシグナル」
端的に言えば、これまで幅が狭かったボリンジャーバンドが急に広がり、株価が上のバンドを突き抜けた時が「買いシグナル」です。
このとき、マーケットでは何が起きているのでしょうか。
それまで注目されていなかった銘柄に、突然新しい材料が出て、投資家たちが一斉に買いに走っている状況です。
売買が活発化し、トレンドが上向きに転じようとしている。まさに上昇相場の幕開けを告げるタイミングといえます。

ボリンジャーバンドの「売りシグナル」
反対に、バンドが急に広がり、株価が下のバンドを割り込んだときが「売りシグナル」です。
ネガティブなニュースが出て、投資家が一気に売りに動いた瞬間といえます。
保有株がこのような状況であれば、すぐに逃げて損失を抑える判断が求められる局面です。信用取引に慣れている人であれば、空売りのチャンスです。

ボリンジャーバンドは、「トレンド転換の瞬間」をいち早く察知するための、シンプルで強力なツールです。チャートには、市場で取引している投資家たちの「今、この瞬間の動き」が表れています。