欧州連合(EU)は、南米の関税同盟メルコスル(南部共同市場)と結んだ貿易協定の一環として、欧州の農家を支えるための規制を提案した。EUの執行機関である欧州委員会は8日、この規制に基づき、牛肉や鶏肉など、価格変動にさらされやすい農産物輸入の動向を監視し、南米諸国から安価な商品の流入が増加したり、域内の価格が低下したりした場合に調査を開始する方針を表明した。欧州委は「輸入の急増や価格の低下が一つまたは複数の加盟国に集中している事例を優先的に検討する」と述べた。欧州委はすでに、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイで構成するメルコスル諸国との正式な貿易協定の概要を発表していた。協定が発効するにはEU加盟国による批准が必要だが、実現すれば世界最大規模の自由貿易圏が発足することになる。しかし、EU域内への食肉製品の流入増加や農業部門への悪影響を懸念する声も出ている。