TikTokも学びになる?

びーやま:それはもはや「悟りの境地」ですね(笑)。

 僕は「学歴YouTuber」として活動していることもあって、もし受験生がTikTokやYouTubeを見たら、さすがに「サボっているな」「学んでいないな」と思っちゃいそうです。スマホを見ている人は、いったい「何」を学んでいるんでしょうか。

中原:TikTokでダンスのショート動画を観ている人は、「ダンス文化について学んでいる」「かわいく見える身体の動きについて学んでいる」とも言えるんじゃないでしょうか。あるいは、「共通の推しを持つ人たちのコミュニティに参加している」のかもしれません。

びーやま:なるほど。あるいは、SNSを通じていまの流行に触れることで、マーケティング感覚が養われるといったことも期待できるかもしれませんね。

中原:そうです。「どういう映像がバズるかを学んでいる」わけです。すばらしいですよね。大人が何かを学ぶときには、それくらい「学び」の意味をゆるく捉えてしまったほうがいい。「受験勉強」という物差しで測っているかぎり、大人は自分の学びに「気づけなく」なってしまうんです。

びーやま:ただ、この相談者は50代ですよね。ひょっとすると、自分の人生を考え直すタイミングに来ているのかもしれません。そういう人はどんなことから始めればいいんでしょう?

「好き・感謝・心残り」から始める

中原:何を学んでいいか、わからないという人には、おすすめしていることが3つあります。

 まず「自分が好きなこと」について学ぶということですね。料理が好きなら料理について学ぶ。ダンスが好きなら、ダンスを学べばいいんです。「好き」をとっかかりにして、自分を深掘りしていきましょう。

 次に考えるのは「他人に感謝されること」について学ぶ、という道です。典型的なのは「介護」とか「ケア」ですね。これからの時代、介護について学んでいれば、周りの人からは絶対に感謝されますよね。

 最後の1つは「心残りになっていること」です。私のように人生50代に差しかかりますと、「あのときやっておけばよかったなあ…」という心残りがいくつかあるはずです。そういうことについてであれば、とっかかりを見つけるのはそんなに難しくないと思います。

びーやま:とくに3つめが面白いですね。たしかに、学びにはタイミングみたいなものがあって、年代によって「学ぶべきこと」は変わりますね。50代になってから「心残り」にフォーカスするのはよさそうです。

中原:「若い頃にギターでもやっとけばよかった…」と思うなら、何歳だろうとギターをはじめればいいんです。ギターをはじめれば、誰かに聴かせたくなるかもしれませんし、誰かから感謝されるかもしれません。また、ギター仲間が見つかったりすれば、孤独にもならずにすみます。そうなれば、あなたは変わります。それが「学び」です。