東海・北陸のスーパー「バロー」が、備蓄米をいち早く店頭に並べられたワケ【社長が明かす】スーパーのバローは中部圏を中心に1471店舗を展開 写真:カーゴニュース

岐阜県多治見市に本社を置き、東海・北陸など中部圏から関西へとスーパーマーケットを中心とした小売チェーンを展開するバローグループ。そのトップを務めるバローホールディングスの小池孝幸社長は、物流部長を経験し、現在もグループの物流事業を担う中部興産の社長を兼任するなどユニークな経歴で知られる。製造や卸売、物流などの関連業務をグループで内製化するビジネスモデルの強みや、今後の事業拡大を支える物流戦略、中部興産の成長ビジョンなどについて話を聞いた。(カーゴニュース代表 西村旦)

*本記事はカーゴニュースからの転載です

小売の経営戦略に「物流」は外せない
強い企業をつくるために重要な2つ

――物流部長の経験者でもある小池孝幸社長は、2023年にバローHDの社長に就任されて以降も物流子会社である中部興産の社長を兼任されています。ご自身が物流にかなりの思い入れとこだわりがあるように感じられます。

小池 私は強い企業をつくるためには、モラルと仕組みの2つが重要だと思っています。高いモラルが強い組織や人材といった競争力を生み、安定して事業を継続していくためには、仕組みとしてのシステムと物流が不可欠です。

 私はシステム部長も物流部長も経験してきましたが、当時から強い小売には強いシステムと物流が欠かせないと考えてきました。その後バローHDの社長になりましたが、グループの経営戦略を考えていく上で、物流がどうあるべきかというテーマを考え続けたい、むしろライフワークにしたいと個人的にも思い、現在も中部興産の社長を続けています。

 最近もM&A戦略を進める中で、数多くの小売企業を買収していますが、その際にも買収後に物流を後付けで考えるのではなく、買収前から物流のインフラ構成をはじめとする仕組みをどのようにするかについて考え、収益構造を改善できるかを経営戦略の中核に置くようにしています。

――いま物流を取り巻く環境は大きな転換期を迎えていますが、物流行政の取り組みなど日本の物流の現状をどのようにご覧になっていますか。