「マツダ ファンフェスタ 2025 at 富士スピードウェイ」で展示された「マツダスピリットレーシング 12R」 Photo by Kenji Momota
マツダが10月24日に予約受け付けを開始した、スポーティーブランド「マツダスピリットレーシング」の「ロードスター」の販売が好調だ。限定200台の「12R(イチニアール)」の抽選に9500件を超える応募があった。倍率は実に47.5倍である。一方、ジャパンモビリティショー2025で初公開が期待された「RX-9(仮称)」量産を踏まえたコンセプトモデルは登場しなかった。マツダのスポーツカー戦略の今後について、マツダ幹部に話を聞いた。(ジャーナリスト 桃田健史)
次期ロータリースポーツとロードスターの微妙な関係とは?
まさか、ここまですごいことになるとは!
市場の予想を大きく上回る反響を得たのは、マツダが10月24日から予約受注を開始した「マツダスピリットレーシング 12R(イチニアール)」(761万2000円)だ。
限定200台の商談予約抽選への応募が9500件を超える想定以上の盛況で、マツダは第2弾への対応を検討しているという。なぜ、それほど人気なのか?
まずは、マツダスピリットレーシング 12Rのスペックから見ていこう。
マツダスピリットレーシングは、国内モータースポーツのスーパー耐久シリーズに参戦するマツダ本社直轄チーム。レースの実戦で鍛えた技術を満載するスペシャルモデルのデビュー作が「12R」だ。
技術的にはエンジン排気量が2Lであることが大きなポイント。国内向けロードスターのソフトトップモデルが搭載するエンジンは1.5Lで、2.0Lは電動式ハードトップのRFのみ。ソフトトップで2Lエンジン搭載は、ロードスター現行の第四世代(型式ND)が登場して以降初めての試みとなる。
さらに、この2Lエンジンをハイパフォーマンス化している。具体的には専用カムシャフト、エンジンシリンダー内に空気を取り込む吸気ポートをマツダの匠が研磨、低抵抗のピストンとピストンリング、排気系部品大手の藤壺技研と共同開発したエキゾーストマニホールド、高回転数ギリギリまでエンジン出力を絞らない専用制御など、レースでの知見をふんだんに取り入れた。
足回りも当然、本物志向だ。独ビルシュタイン製ダンパーを採用しフロントにストラットタワーバーを標準装備した上で、サスペンションアームの締め付けやホイールアライメント調整をマツダの熟練工が行う。
エクステリアでは、専用リアスポイラーやレーシーな専用デカール、またレイズと共同開発した鍛造アルミホイールにヨコハマ NEOVA AD09を履く。インテリアでも専用フルバケットシートを採用したほか、各所にさりげない専用デザインを施した。
このような、いわゆるチューニング(改良)は、新車販売後のアフターマーケット市場では珍しくないが、マツダがメーカーとしてここまで踏み込んだ仕様を発売するのはまれだ。







