
10歳のプログラミング好きな子を持つ母親からの相談を例に、「子どもの個性を尊重する自由な子育て」が陥りがちな罠について考えます。「子どもを信じているから」と「放任」するスタイルとは、決定的な違いがあるのです。子どもの将来を左右する、人間力を高める方法とは?(日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool創立者 中内玲子)
子育て質問会で受けた悩み相談
「10歳でプログラミングを夜中まで…」
「子どもの個性と才能を、伸び伸びと自由に育てたい」――。子育てをする親の多くが、こうした願いを持っていることでしょう。特に今は、子どもの自主性を尊重する「自由な子育て」が、理想的なスタイルとして広く受け入れられています。
しかし、その「自由」という言葉の解釈を、私たちは間違えていないでしょうか?
先日、私が開催した子育て相談の質問会で、ある母親からこんな話がありました。
「うちの10歳の息子は、プログラミングが得意なんです。放っておくと夢中になって、長時間やり続けています。才能を伸ばしてあげたいので、好きなだけやらせているのですが……」
一見、子どもの情熱を全力で応援する、素晴らしい母親のように思えます。しかし、話はこう続きました。
「夜中までやっているせいか、寝不足みたいで…。学校でも授業に身が入らないようなんです。だんだん学校へ行くこと自体が億劫になっているようで……」
この母親の対応は、本当に子どものためになっているのでしょうか?「自由な子育て」の意味を履き違えてはいないでしょうか?
子育ての「自由」主義と「放任」主義の決定的な違いとは何か。子どものうちに身に付けないと、大人になって取り返しのつかないことになる「最も重要な人生の土台」とは何か、考えていきましょう。