
10月1日、愛知県豊明市で「スマホの利用を1日当たり2時間以内を目安とするように」という条例がスタートした。豊明市は市民に対し、スマホの適正使用について啓蒙していくという。しかしこの条例は、本当の問題点に気付いていないのではないだろうか?(ライター、編集者 稲田豊史)
ゲームは1日1時間、スマホは1日2時間以内?
余暇時間に使うスマホの利用を1日2時間以内とする「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」が10月1日、愛知県豊明市で施行された。強制力も罰則もないが、なかなか思い切った条例である。

50歳前後の方なら、かつて高橋名人が提唱した「ゲームは1日1時間」を思い出すことだろう。高橋名人とは、ファミコンブーム全盛の1980年代半ば、ゲームソフト会社の社員にして子どもたちのカリスマ的存在だった人物だ。その彼があるイベントで、ゲーム漬けの子どもたちを心配する親たちに向けてとっさに放った言葉が「テレビゲームがうまくなりたいなら、1時間だけ集中してやろう」だった。それが標語化されて広く浸透したのが「ゲームは1日1時間」である。
「スマホは1日2時間以内」と「ゲームは1日1時間」に通底する主張は同じ。「スマホもファミコンも、度を超えてやれば使用者に害を与える」だ。ただし、スマホがゲームと大きく違う点がある。「インフラ」であるということだ。