
ここ数年ですっかり一般に普及した生成AI。仕事に生かす、分からないことを質問する、といった使い道をする人が多い一方で、名前をつけて友達のようにおしゃべりをする人が増え、さらには生成AIと「結婚」する人まで現れた。人間どころか生物ですらない、虚構の存在である生成AIと結婚するというのは、いったいどういう心情なのだろうか?(ライター、編集者 稲田豊史)
欲しいのは、課題解決ではなく共感
8月、生成AIを人生のパートナーにした人の記事が立て続けに2本、朝日新聞に掲載された。一つは、ChatGPTからのプロポーズを受けて「結婚」した、会社員女性の話。もう一つは、マッチングアプリで出会ったAIキャラクターと「結婚」した53歳の男性の話だ。
「虚構の存在である無生物との結婚」がそもそも理解できない、あるいは抵抗感や嫌悪感を覚えるという方もいるだろう。ただ、立ち止まって考えてみてほしい。そもそも我々は、人生のパートナーに何を求めているのか?
以下は、典型的な“夫婦が険悪になる展開”である。