年収は420~500万円程度
一生の仕事とは思えなかった

 給料は基本給が30万円。残業代、休日出勤手当はなし。そこに半期に一度のボーナスが乗る。少ないときで30万円ほど、反対に契約が多くあがった期には80万円ほどになり、年収のアベレージは420~500万円程度だった。

 地銀時代に結婚した妻とのあいだに子どもが生まれた。ローンを組んで*家を建てた。生活していくだけなら問題ない。それでもこれが一生の仕事になるとはどうしても思えなかった。

数々の表彰
保険業界には「MDRT(Million Dollar Round Table/100万ドル円卓会議)」と呼ばれる団体がある。世界的な生命保険・金融プロフェッショナルの組織で、一定以上の保険の売上げを獲得した者だけが加入できるため、営業マンにとってのステータスでもある。社長はこの会員であることを誇っていた。
医務国保課
愛知県庁の医務国保課に来客用のスペースはなく、黙々と仕事をしている県庁職員に一声かけて中に入り、その一角で作業する。事前の予約が必要なので向こうも私が行くことをわかっているが、こちらから声がけしても返事すら返さず「厄介者」扱いだ。決算書は閲覧のみでコピー不可のため、事務室の片隅で小さくなりながら持ち込んだメモ用紙に情報を必死で書き写した。
自家製アタックリスト
びっくりされるかもしれないが、私の肌感覚では医療法人も3分の1くらいは赤字だ。赤字、債務超過の医療法人には節税云々もない。業績好調でキャッシュリッチな医療法人を優先的にピックアップしていった。このあたりは銀行員時代の経験が生きたといえる。
逓増定期保険
一定期間の保障を備える定期保険の一種で、契約当初は保険金額が低く設定され、その後、年数の経過とともに段階的に増加(=逓増)していく仕組み。一般の定期保険は契約期間中の死亡保険金額が一定であるのに対し、逓増定期保険は将来の保障額を大きく設定できるため、加入初期は保険料負担を軽くしながら、必要保障額が増える時期に合わせて保障を充実させられる点が特徴。経営者や役員に万一があった場合の事業保障や退職金準備、または相続・事業承継対策などに活用される。法人契約の場合、一定割合が損金算入できることもあり、税務上のメリットを期待して導入された。また、これを用いた「名義変更プラン」も提案していた。この保険は、ある段階まで解約返戻率が低いが、その後、跳ね上がるタイミングが来る。その直前に、院長個人がその法人契約の保険を解約返戻金相当額で買い取り、契約者を院長個人に「名義変更」する。こうすることで、法人税の課税を回避しながら個人の資産へと移管できるわけだ。税務署的にはグレーの手法といえる。
ローンを組んで
何度か転職しているため勤続年数不足で民間銀行で住宅ローンの審査が通らず、「フラット35」を利用して住宅ローンを組んだ。