「頑固だね」と言われる人が放置しがちな悪循環
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【精神科医が教える】「良い頑固」と「悪い頑固」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

頑固には2種類あります

今日は「良い頑固、悪い頑固」についてお話ししたいと思います。

私自身、頑固には実は2つの種類があるのではないかと考えています。

1つは、本当に信念を持って頑固な場合。そしてもう1つは、ただ単に面倒くさがり屋な場合です。このどちらも、一見すると同じ「頑固」に見えてしまいます。

1.自分の信念を貫く「良い頑固」

「頑固」という言葉は、一般的に「人の意見を取り入れない」という意味合いで使われがちです。

自分が違うと思うから、周りが色々と意見を言っても、その人が一向に自分のやり方を変えないという場合に、「あの人は頑固だ」と思ったりするわけです。

この時、もしその人が本当にご自身の考えや信念を持っていて、だからこそやり方を変えないという場合があります。

これは、決して問題のある頑固ではなく、ある意味で「自分軸」がしっかりしているとも言えます。自分の信念が変わらない限りはやり方を変えない、という姿勢です。私は、こちらは「良い頑固」だと考えています。

2.単なる「面倒くさがり」の頑固

そして、もう1つの頑固は、「面倒くさいから変えたがらない」というものです。

もちろん、「面倒くさいからやりたくない」というのも大事な本音であり、その意味では自分軸の1つかもしれません。

しかし、ただ単に面倒くさがりで、本来やるべきことを後回しにしている……そういうタイプの場合の頑固もあります。こちらの頑固は、あまり良くない結果を招くかもしれないと私は感じています。

「頑固だ」と言われたら、どちらのタイプか考えてみましょう

もしあなたが誰かから「頑固だ」と言われたら、「自分はどちらの頑固なのだろう?」と考えてみていただきたいのです。

もし他人が「あなたは自分の考え方を曲げないよね」という意味で言っているのであれば、それはご自身の信念に基づいているのでしょうから、別にそのままで問題はありません。

むしろ、人の意見でコロコロと意見が変わってしまうのも、あまり望ましいことではないでしょう。

「それが自分らしさだ」とか、「もしかしたら、意見を言ってくる人にとって私の考えが都合が悪いだけなのかな」といった程度に捉えておけば良いかと思います。

「面倒くさい」だけならば、要注意です

しかし、もし「いろいろとやったほうがいいのかもしれないけれど、面倒くさいな」と思って行動を変えないことが、周りから「頑固」と映っているのであれば、それは少し考えものかもしれません。

そういった「面倒くさい」という気持ちを放置しておくと、だんだんと悪循環に陥る可能性があるからです。

つまり、「面倒くさい」という気持ちが高じると、結果的にご自身が本当にやりたいことまでできなくなってしまう可能性があるのです。

良いアドバイスまで遠ざけていませんか?

人の意見というのは、むやみやたらにすべてを聞き入れる必要はないと思います。しかし、中にはあなたにとって「良いアドバイス」になっていることもあります。

それはたいてい「相手の言っていることは分かるけれど、面倒くさいからやりたくない」と感じるような内容だったりします。

そのような感覚をベースにして相手の意見を否定してしまうと、それは「良くない頑固」になっている可能性があります。

もし、ご自身が「やらなければいけないような気がするけれど、面倒だからやらない」という理由で「頑固だ」と言われているのだとしたら、少しその姿勢を改めてみるほうが、ご自身のためにも良いかもしれません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。