米国のグアム要塞化、中国抑止狙うが課題も米軍はグアムを太平洋での戦力投射に活用している

【デデド(米自治領グアム)】観光ホテルやビーチから数キロしか離れていない米陸軍施設で、先進的な360度レーダーの試験が行われている。これは、米自治領グアムを中国のミサイル攻撃から守るために構築される、80億ドル(約1兆2000億円)規模の防衛システムの一部に過ぎない。

 構築中の防御シールドは、米軍による根本的な方針転換の一部だ。米国防総省は、自国領の中でホノルルよりも北京に近いグアムを、太平洋戦略の要に変貌させている。

 軍当局者らによると、その狙いは、拡大を続ける中国の軍事力に対する抑止力として機能させることにある。中国が自国領と主張する 台湾を武力制圧 することを阻止し、米国には戦う準備ができていると示すためだという。

 このプロジェクトは費用がかさみ、物資の輸送も容易ではない上、「グアム・キラー」として知られる中距離弾道ミサイル「東風26」の改良版といった中国の兵器に対処する必要もある。

 さらに、台湾と南シナ海という、この地域の二大火種から2400キロ以上離れた島に軍事資産を集積させることの安全保障上の利益についても疑問がある。

グアムは、中国との対立において米軍が太平洋の深部に戦力を投射するための発射台となるが、米国や潜在的な戦争地域からの距離が課題となっている。