投資家ソロス氏、トランプ政権との戦いに備えるPhoto:Bloomberg/gettyimages

 米司法省の幹部が9月、複数の連邦検事局に著名投資家ジョージ・ソロス氏の慈善事業帝国を調査するよう指示した直後、ソロス氏の息子のアレックス氏は友人に「スターリン主義者にはこんな格言があった」と冗談めかして話した。

「『その男を渡せ。そうすれば男に対する訴追事実を提示しよう』」と元ニューヨーク州イサカ市長のスバンテ・マイリック氏に語った。

 ソロス親子や他の民主党の大口献金者に対するトランプ政権からの脅威が高まっている。ドナルド・トランプ大統領は、彼らが暴力的な抗議活動を支援し、違法行為に関与していると非難している。

 司法省の監視に加え、トランプ政権は内国歳入庁(IRS)改革を計画しており、実現すればIRSはソロス氏が資金提供するオープン・ソサエティー財団のような左派系団体に対する刑事捜査をより容易に行えるようになる。同財団の幹部は、自分たちの活動は合法で徹底的に記録されており、司法省やIRSから連絡は受けていないと述べている。同財団は戦いに備える一方で、数百万ドルの助成金の提供を続けている。

 事情に詳しい関係者によると、同財団の弁護団は予想されるIRSの調査に対応するための準備書面の作成を開始した。一方、進歩派非営利団体の連合は連邦議会事務所に対し、政権が調査を利用して金融機関にソロス氏を含む民主党の主要献金者に関連する口座の「取引停止」や凍結を迫る可能性があると警告している。これは2026年の中間選挙での民主党の見通しを損なう恐れがある。IRSはコメント要請に応じなかった。

 さらに悪いことにIRS改革計画は、かつてソロス氏のヘッジファンドを運営していたスコット・ベッセント財務長官の顧問が推進している。