一緒に働いているのに心がバラバラ…仕事仲間との距離が一気に縮まる「3つの質問」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

現在は著述家として活動している楠木新さん。大学卒業後は生命保険会社に入社し、休職期間を挟んで、60歳の定年まで「会社員」として勤務していました。その経験や、これまで取り組んできた「働く人」への取材を踏まえて「コミュニケーションの真髄」について語ります。

リモートワークは便利な一方
人間関係が希薄になりがち

 コロナ禍以降、すっかり定着したリモートワーク。会社へ行かなくても業務をこなすことができて、遠方にいる人とも互いの顔を見ながら打ち合わせができるので、技術の進歩のありがたさをあらためて感じます。

 その一方で、対面のコミュニケーションはどうしても希薄になります。それを回避するために出社を義務付ける方針に立ち返る企業も増えているようです。

 オンライン中心の組織運営では、行動方針や事実関係を簡単に共有できるという利点がある反面、社員同士の雑談の機会などが減ってしまいます。その結果、同じチームで働きながらも、打ち解けないまま仕事を進めることになりがちです。

 私が生命保険会社に勤めていた頃を振り返ってみても、他部課との案件調整の際に、相手の部署に同期入社者がいるだけで、話が驚くほどスムーズに運ぶケースが多くありました。長年の個人的付き合いがあるだけで潤滑油のような働きをするのです。

 しかし、ここ4~5年前に新卒入社した世代では、入社後に同期や先輩と一度もリアルで接したことがないという人も少なくありません。これでは仕事を円滑に運ぶのは難しいように思います。

 リアルとリモートを選択できる組織運営が醸成されたことは合理性、効率性の面から喜ばしいことです。それに加えてインフォーマルな人間関係を共有できれば、組織はさらに活性化していくのではないでしょうか。