アメリカの科学誌『PLoS One』に2009年に掲載された論文によると、「背中が丸まっている人や猫背の人は、実年齢より老けて見られやすく、見た目年齢と実年齢の差は、姿勢・体型・筋肉の張り・骨格構造と関連している」ことがわかったといいます。

 皮膚や筋肉の張りつやだけでなく、姿勢も大きく影響していることを指摘したのです。

姿勢の変化が引き起こす
さまざまな弊害

 さらにこの研究は、姿勢の変化が見た目に与える印象にも言及しています。

(1)背中が丸まっていると、「老けている」あるいは「自信がない」ように見える。
(2)肩が内側に入っていると、「活力がない」あるいは「疲れている」ように見える。
(3)頭が前に出ていると、「加齢による衰え」を連想させやすい。

 これら「老け見え3大要素」が明らかになり、相手に与える第一印象や、自己肯定感の低下にもつながると結論づけています。

 整形外科や老年医学の領域では、「姿勢年齢」や「歩行年齢」といった概念があり、後弯(編集部注/脊椎が曲がって猫背を引き起こしている状態)の度合いや骨盤の傾きが、加齢評価やリスク予測の指標のひとつになっています。

 後弯の度合い(後弯角)が大きい人ほど、老化が進んで見えること、さらに後弯が進むと日常生活の自立度ならびに、QOL(Quality of life=生活の質)が低下する――この事実が判明しているからです。

 どんなに「自分は若い」という意識を持っていても、背中が丸まれば丸まるほど、他人はそうは思ってくれないということを、おわかりいただけたのではないでしょうか。

 佐藤さんは、もともと意識の高い人だったということもあり、私の指導のもと、運動療法や食事療法に一生懸命取り組み、日常生活における姿勢にも気を配っていただくことによって、脊柱後弯はかなり改善しました。

 お世辞ではなく、びっくりするくらい見た目が若返りました。

 そして、これにより健康被害のリスクが低減したことも忘れてはなりません。佐藤さんは見た目年齢の若返りと健康増進を同時に手にし、文字どおりの“一石二鳥”を実現したのです。