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高齢者が寝たきりになる最大の原因は、骨折だ。ちょっとした転倒がきっかけで骨が折れ、そこから体のバランスが崩れ、歩けなくなってしまうケースは少なくない。しかし、骨の衰えは、日々の習慣である程度防ぐことができる。自身や高齢の親を「骨折→寝たきり」にしないための習慣を、専門医が教えてくれた。※本稿は、野尻英俊『人は背中から老いていく 丸まった背中の改善が、「動ける体」のはじまり』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。
背中の骨が曲がってしまうと
日常生活は一気に破綻する
私が声を大にして、何度でもお伝えしたいのは、次のひと言に尽きます。
「背中の変化に早めに気づいて、すぐに対策をとってください」
目指すべきは、バランスのとれた強い脊椎を維持すること。
人は加齢などによって脊椎が変形してきても、それをほかの部位が代償して、自立歩行や水平視を保とうとします。ほかの部位で代償できているうちは、あまり不自由なく生活を送れるので、自分の身体はいたって健康だと思ってしまいがちです。
しかし、それはあくまでも代償によって保たれた健康です。脊柱後弯(編集部注/脊椎が曲がって猫背を引き起こしている状態)がさらに進行し、筋力などが衰えて、いよいよ代償ができなくなると、それまでの日常は一気に破綻してしまいます。
腰はどんどん曲がっていき、体のバランスがとれなくなり、転倒する危険性が増え、杖や歩行器がないと歩けなくなる、もしくは車いすや寝たきりの生活に陥ってしまう……。
実際、来院する患者さんには、こう口にする人がいます。
「私の体はどこも悪くなかったのに」
「こんなはずじゃなかった」







