11時間後に現れた対象者
隣には…
歓楽街は暗くなって開店する店の人や呼び込みの人など、ギラギラした目で周囲をうかがう人が増えてきました。そんな人たちに注意を向けられないよう、車の後部座席に移り、身を潜めて張り込み続けました。
調査開始から実に11時間以上経過したその時、ついに美緒さんの苦しみを裏付ける決定的な証拠を撮ることができたのです。
稔さんは女性を伴ってホテルから腕を組んで出てきたのです。
調査で最も大事な瞬間、明らかに普通の関係ではない2人の様子と、不貞相手の女性の顔をしっかりと押さえることができました。
その後、2人は居酒屋に入り食事を楽しんでいました。
美緒さんが自宅で一人、幼い子どもたちの世話をしながらも、夫のモラハラ主張に涙していた裏側で、稔さんは新しい女性と恋人のような時間を過ごしていたのです。
我々の仕事はまだ終わっていません。この女性が誰であるかを特定するまで含まれています。
食事を終えた2人は、女性の車で移動を開始しました。車班との入念な連携により問題なく捕捉し、車で尾行しました。稔さんの自宅から歩いて15分ほどのコンビニで抱擁した後、稔さんを降ろして女性の車両は走り出しました。
私たちは引き続き女性の車を45分ほど追尾した後、彼女の帰宅先を突き止めることに成功しました。
女性が自宅に入るまでをしっかり撮影して、調査は完了しました。
私たちは、稔さんと女性が仲睦まじくホテルから出てくるという不貞行為の決定的瞬間、そして相手女性の特定という、美緒さんと子どもたちの未来を左右する最重要証拠をつかんだのです。
調査結果の報告書を提示すると、美緒さんは言葉を詰まらせ、大粒の涙を流していました。その涙は裏切りを目の当たりにしたショックだけでなく、真実を知ることで得た大きな安堵の涙でもあったと感じました。
夫の不可解な豹変、理不尽な家事・育児放棄と、モラハラを盾にした慰謝料と離婚の要求。その全てが、不貞行為という点で一本の線となってつながったのです。







