運動能力を高めやすいトレーニングウェアのアイデアをSCAMPER法に基づいて考えてみましょう。この方法は創造的思考を刺激するための一連のテクニックを提供します。各項目について具体的なアイデアを提案します。
S(代替)
・部分の代替:伝統的な繊維の代わりに、体温調節や汗の吸収・発散機能を強化した高機能素材を使用。
・人の代替:トレーニングウェアを着用する人の動きをサポートするため、ウェア自体が動作補助を提供するようなデザイン。
・材料の代替:再生可能資源やバイオマス素材を使い、環境に優しいトレーニングウェアの開発。
・働きの代替:体の動きに合わせて形状が変わる素材を用い、動きやすさを最大限に高める。
・プロセスの代替:製造過程でエコフレンドリーな技術を採用し、環境負荷を低減。
C(結合)
・部分の結合:様々なトレーニングタイプに適応するための取り外し可能なパッドやサポート機能の組み合わせ。
・目的の結合:運動能力向上だけでなく、姿勢矯正やリカバリーサポート機能を追加。
・応用方法の結合:スポーツウェアだけでなく、日常生活やオフィスでの使用も視野に入れる。
・材料の結合:伸縮性と通気性を兼ね備えた複合素材の開発。
A(適用)
・状況への適用:気候変動に対応できるよう、熱中症予防や保温性能を持つウェアの設計。
・モノへの適用:スマートデバイスと連携し、トレーニングデータを収集・分析できる機能を組み込む。
・行為への適用:筋トレ、ランニング、ヨガなど、特定の運動に特化した機能性ウェアの展開。
・考えへの適用:マインドフルネスや集中力向上をサポートするアロマ機能や色彩心理学に基づくデザイン。
M(修正、拡大/縮小)
・色の修正:視認性を高めるための反射素材の使用や、心理的効果を狙った色の選定。
・外形の修正:体型に合わせたカスタマイズ可能なデザイン。
・音の修正:運動時のモチベーション向上やリラクゼーションを促す音声機能の組み込み。
・意味合いの修正:スポーツの楽しさや達成感を象徴するデザイン要素の追加。
P(置き換え)
・そのままで別の分野への置き換え:医療リハビリ分野での使用を想定した機能性ウェア。
・一部を変えて新しい用途:取り外し可能なパーツを変更することで、異なるスポーツに適応。
・別の市場への置き換え:子どもや高齢者向けのトレーニングウェア市場の開拓。
E(削除)
・部分の削除:不必要な装飾を削除し、機能性と快適性を最優先。
・機能の削除:使用頻度の低い機能を省略し、コスト削減と使途のシンプル化。
・動きの制限を削除:運動の自由度を高めるため、制約となるデザイン要素の排除。
R(並べ替え、逆)
・パターンの並べ替え:筋肉の動きを支援するために、圧迫部分やサポート部分の配置変更。
・配置の並べ替え:快適性と機能性を高めるための内部ポケットや通気孔の最適な配置。
・組み合わせの並べ替え:異なる素材や機能の組み合わせにより、新たなトレーニングウェアの開発。
・順序の逆転:着脱のしやすさを考慮して、従来の前開きを後ろ開きに変更。
 これらのアイデアは、運動能力を高めやすいトレーニングウェアの開発において、新しい視点や改善点を提供することができます。SCAMPER法を使って、従来の考え方に挑戦し、革新的な製品を生み出すことが可能です。
「運動能力を高めやすい」だけでは範囲が広すぎるアイデア(の卵)に、さらに他の要素やアイテムがワードとして追記されることで、現実感のある形に近づいていきます。
「音の修正:運動時のモチベーション向上やリラクゼーションを促す音声機能の組み込み」。これは面白そう。ショッピングセンターや空港などにある「動く歩道」の上を歩いた際、風を切る感触が面白くて自然と小走りになったのを思い出します。
 では、「着ているとものすごく速く移動しているかのような風切り音がするウェア」なんてどうだろう、または「アナログだと?」「デジタルだと?」と、さらなる妄想が拡がります。
 その自分のひらめきを、さらにAIにぶつけてみます。
「音の修正:運動時のモチベーション向上やリラクゼーションを促す音声機能の組み込み」について、アナログな方法からデバイス込みのテクノロジーよりのアイデアまで、いくつか案を考えてみてください。
人間なら“引っかかり”そうな単語から生まれたアイデアも、さらに追求してみたくなるから不思議ですね。
 音の修正を通じて運動時のモチベーション向上やリラクゼーションを促すためのアイデアは、アナログな手法からデバイスを組み込んだハイテクなアプローチまで幅広く考えられます。以下に、様々な方法を提案します。
アナログな方法
・反響材料の使用:特定の動作時にのみ音が鳴るような反響材料をウェアに組み込む。たとえば、正しい姿勢や動作をとると、軽い音が鳴ることでフィードバックを提供する。
・動作発電:運動によって発生するエネルギーを利用して、小さな音楽装置を動かす。たとえば、ランニングのリズムに合わせて、軽快な音楽が流れる仕組み。
・風鈴やビーズ:トレーニングウェアに小さな風鈴やビーズを取り付け、運動することで自然な音が生まれ、それがモチベーション向上やリラクゼーションにつながる。
デバイス込みのテクノロジーよりのアイデア
・スマートファブリック:動きや心拍数に反応して音楽やガイド音声を変化させるスマートファブリックの開発。運動強度に応じて音楽のテンポが変わることで、ユーザーのモチベーションを自然と高める。
・ウェアラブルスピーカー:軽量で防水性の高いウェアラブルスピーカーをトレーニングウェアに組み込む。ユーザーは自分だけのプライベートな空間で、音楽やリラクゼーション用の音声を楽しむことができる。
・バイオフィードバック音声ガイド:心拍数や呼吸パターンをモニタリングし、それに基づいた音声ガイドを提供する機能。リラクゼーションが必要なときには穏やかな音楽や呼吸法をガイドする。
・触覚フィードバックと音声組み合わせ:運動のフォームが正しいときに、触覚フィードバックと一緒にポジティブな音声メッセージを提供。これにより、運動の質を向上させると同時に、運動を楽しむ気持ちを強化する。
・音楽同期運動プログラム:専用アプリを通じて、運動プログラムと同期した音楽やビートを提供。ユーザーは音楽に合わせて運動することで、より楽しく、効果的にトレーニングを行える。
 これらのアイデアは、運動体験を豊かにし、ユーザーが自身のフィットネス目標に対してよりポジティブな関係を築くのを助けることができます。アナログからデジタルまで、様々なアプローチを組み合わせることで、より多くの人々が運動を楽しむきっかけになるでしょう。
うん、1つめから面白い。
「反響材料の使用:特定の動作時にのみ音が鳴るような反響材料をウェアに組み込む。たとえば、正しい姿勢や動作をとると、軽い音が鳴ることでフィードバックを提供する」
 速く歩く人を想像しての質問でしたが、「正しい動作が音でわかるウェア」って、すごく良さそうじゃないですか。技術的にもクリアできそう。
「風鈴やビーズ」
 足、腕、腰などが特定の動作をしたときに音が鳴るなら、全身の動きでリズムを奏でるような楽しい体験が提供できそうです。「ど、ど、ど、ど♪」「ちーちき、ちーちき♪」。ランニングよりも、踊り向きかも?
AIの回答をヒントにして、人間がアイデアを紡ぎ出す。1人でも簡単に、かつ濃度あるブレインストーミングができてしまいますね。
技法その17「9つの型」、ぜひ活用してみてください。
(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。この他にも書籍では、AIを使って思考の質を高める56の方法を紹介しています)








