AIが「使えるかどうか」は、人間側の「使い方」で決まります。
そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に思考・発想の研修をしてきた石井力重氏だ。そのノウハウをAIで誰でも実践できる方法をまとめた書籍『AIを使って考えるための全技術』が発売。全680ページ、2700円のいわゆる“鈍器本”ながら、「AIと、こうやって対話すればいいのか!」「値段の100倍の価値はある!」との声もあり話題になっている。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏も全面監修として協力し、「これを使えば誰でも“考える”ことの天才になれる」と太鼓判を押した同書から、AIの便利な使い方を紹介しよう。

AIを使って「課題の解決策」を考える
メールの作成、資料の作成や要約、英語の翻訳……などなど。AIを仕事に活用できるシーンは多々ありますが、業務の効率化や自動化だけに使うのは少々もったいない。
AIは、「頭を使う作業」に活用してこそ、その真価が発揮されると考えています。たとえば、課題解決のアイデアを考えることにもAIは活用できます。
その方法の1つが、技法その13「工夫のパターン」。
これを使えば、課題を解決するための妥当な案と挑戦的な案を一度に得られます。
こちらが、そのプロンプトです。
何かの工夫・改良をする際には以下の発想の切り口40個を使って発想すると多様なアイデアが出ます。今考えたいのは〈課題や目的を記入〉の改良製品です。この題材ととくに相性がいいものを3つ選び、通常は組み合わせにくいものを3つ選び、発想してみてください。以下はその40個の切り口です。
1. 半分に切る 2. バラバラにして使えるようにする 3. 似ているものの中でどこか1つを変える 4. 左右で違う形にする 5. 二つのものを合わせる 6. 他にも使えるようにする 7. 中に、すっと入るようにする 8. どこかに重りを付ける 9. やる前に反対の方に動かす 10. 後で必要になるものを付けておく 11. 大切な所に何かを付ける 12. 高さを同じにする 13. 逆のやり方にする 14. くるくる回るようにする 15. いろいろな形にできるようにする 16. まずは大雑把にやる 17. 出っ張っている部分やへこんでいる部分を作る 18. 揺らす 19. 何度も繰り返せるようにする 20. 続けられるようにする 21. 素早く動かす 22. 邪魔になっているものを使う 23. 見えない所の様子がわかるようにする 24. 先っぽに固いものを付ける 25. 自分でうまく繋がってくれるようにする 26. 同じようなものをたくさん使う 27. どんどん取り換えられるものを使う 28. 磁石を使って動かす 29. 空気や水がものを押す力を使う 30. アルミホイルのような形を作れるもので包む 31. くっつくものを使う 32. 色を変える 33. 同じ固さか、同じ材料にする 34. 出すぎないようにするか出てきたものをまた使えるようにする 35. 温度や柔らかさを変える 36. とかしたり、固めたりする 37. 温めて膨らませたり冷やして縮ませたりする 38. もっと濃くしたりたくさん何かを入れる 39. 周りに良くないことが起きないように、何かを詰める 40. 違う材料を一緒に使う。
なぜ、これほどまでに長いのか。
冷戦中のロシア(当時はソビエト連邦)の研究者、ゲンリッヒ・アルトシュラーが、「特許」に書かれた技術的なブレイクスルーのパターンを40個にまとめて作った「TRIZ(トゥリーズ)」という学問体系があります。
そのTRIZをAIで実行する方法が、この技法「工夫のパターン」です。40のブレイクスルーパターンを「1パターン=1フレーズ」まで圧縮。プロンプトはかなりの長文になっていますが、AIは大量の指示をものともせず、スコンと処理してくれます。
この技法をAIで実践してみると、妥当な案と意外な案、双方が生成されます。
「マンションの駐車場余り問題」の解決策を考えてみよう
では、実践してみましょう。TRIZのアプローチが有効な課題のジャンルはたくさんあります。社会課題系のお題で実践してみましょう。自家用車が減りつつある大都市部では、マンションの駐車場が埋まらず管理組合の収入が減って困っている、なんて記事を目にしたことはありませんか。
何かの工夫・改良をする際には以下の発想の切り口40個を使って発想すると多様なアイデアが出ます。今考えたいのは〈利用者が減ってしまった集合住宅の駐車場〉の新しい使い道です。この題材ととくに相性がいいものを3つ選び、通常は組み合わせにくいものを3つ選び、発想してみてください。以下はその40個の切り口です。
1. 半分に切る 2. バラバラにして使えるようにする 3. 似ているものの中でどこか1つを変える 4. 左右で違う形にする 5. 二つのものを合わせる 6. 他にも使えるようにする 7. 中に、すっと入るようにする 8. どこかに重りを付ける 9. やる前に反対の方に動かす 10. 後で必要になるものを付けておく 11. 大切な所に何かを付ける 12. 高さを同じにする 13. 逆のやり方にする 14. くるくる回るようにする 15. いろいろな形にできるようにする 16. まずは大雑把にやる 17. 出っ張っている部分やへこんでいる部分を作る 18. 揺らす 19. 何度も繰り返せるようにする 20. 続けられるようにする 21. 素早く動かす 22. 邪魔になっているものを使う 23. 見えない所の様子がわかるようにする 24. 先っぽに固いものを付ける 25. 自分でうまく繋がってくれるようにする 26. 同じようなものをたくさん使う 27. どんどん取り換えられるものを使う 28. 磁石を使って動かす 29. 空気や水がものを押す力を使う 30. アルミホイルのような形を作れるもので包む 31. くっつくものを使う 32. 色を変える 33. 同じ固さか、同じ材料にする 34. 出すぎないようにするか出てきたものをまた使えるようにする 35. 温度や柔らかさを変える 36. とかしたり、固めたりする 37. 温めて膨らませたり冷やして縮ませたりする 38. もっと濃くしたりたくさん何かを入れる 39. 周りに良くないことが起きないように、何かを詰める 40. 違う材料を一緒に使う。
お題に合わせてプロンプトの一部を「改良製品」から「新しい使い道」と変更しています。おそらく「製品」と入力しても大丈夫なんですが、私の専門家としてのこだわりです。お許しを。
TRIZのように、考え抜かれたパターンが整理されていると、課題が何であっても対応できるのが嬉しいところ。さて、回答はいかに。