「いつも、考えすぎて損してばかり!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「二世政治家」がバカとは言えない納得の理由Photo: Adobe Stock

なぜ二世政治家はバカとは言えないのか

 会社員には守秘義務がある。ましてやたくさんの情報を知っている役員クラスになるとなおさらだ。

 しかし、親族集団の中ではこのような法律は非常にあいまいになる。誰も家の中の会話まで監視できないし、家族が一緒に暮らすことを阻むことはできない。その結果、親族の利益になるような情報があれば、それはインナーサークルで共有されて活用される。大規模な公共事業や政府の決定・研究の情報、それを主導する重要人物の思想や方向性など貴重な情報がインナーサークルにはたくさん転がっている。

他人では知り得ない経験・情報が手に入る

 幼い頃から業界の様々な話を聞く機会にあふれている者は、その業界の独特のマナーなども親族を通じて学ぶこともできる。ゼロからスタートの人間はキャリアの全体を通してやっとそれらを学んで一人前になる。しかしインナーサークルに居れば、初めの頃から、試行錯誤の末キャリアが終わる頃にやっと見えてくる「価値あるもの」が手に入る。

 インド民は家族を“最優先”する。それは、第一に家族というものが最後に頼れるセーフティネットだからだ。第二に、損得勘定を考えてもお釣りがくる重要な利益装置だからだ。

 インド民は大きな家族の力を頼って生きているし、互いに一番身近な他者として協力することの強さを利用している。つまり、家族ファーストの態度と、自身の現物的利益に執着するインド民の思考法とはなんの矛盾もないのだ。

 インド人は家族を実際にリライアンスやアダニなど名だたるインドの財閥系企業は当然のように親族に継承され、ネットワークごとごっそりと次の世代に引き継がれている。

(本記事は『インド人は悩まない』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)