ピカピカ光って、株価が動き出す?
午前9時――その瞬間、それまで静止していた「板」情報が一斉に動き出します。無数の買い注文と売り注文が交差し、プログラムによって売買が成立(約定)していきます。
本文中の「ピカピカ光って、株価が動き出す」とは、まさにこの瞬間のことです。
寄り付きで何が起こっているのか
市場が開く午前9時ちょうどに最初の売買が成立することを「寄り付き」と呼びます。先ほど触れられていたように、午前9時より前に出された多くの「事前注文」が、この瞬間に一斉に処理されます。
最も多くの売買が成立する価格が「始値(はじめね)」として決まり、そこからその日の取引がスタートします。「9時ちょうどは株価が一気に動く」と語ったのは、この需給が一気に交差する瞬間のことを指しているのです。
「板」が教えてくれる市場心理
午前8時から見極めていた「板」は、個人投資家にとっても重要な情報源です。板には、「いくらで買いたいか(買い注文)」と「いくらで売りたいか(売り注文)」が、価格ごとにどれだけの数量出ているかが表示されています。
売り注文が多い価格帯:その価格で売りたい人が多く、株価が上がりにくい「抵抗線」と呼ばれることがあります。
この「板」の厚み(注文量)を見ることで、どちらの勢いが強いのか、市場の心理状態をある程度読み解くことができます。
好決算でも油断禁物「材料出尽し」
住友商事の例のように「過去最高益」というニュースは、通常、株価上昇の要因(好材料)です。しかし、注意点もあります。
それは「材料出尽し」です。もし、多くの投資家が「好決算が出るだろう」と事前に予測して株を買い進めていた場合、実際に良い決算が発表された瞬間、「予想通りだった」と判断した投資家たちが一斉に利益確定の売り注文を出すことがあります。
良いニュースが出たにもかかわらず株価が下がるのは、このためです。発表された内容そのものだけでなく、「市場がどれだけそれを期待していたか」を考える視点も重要になります。
いかがでしたでしょうか。このように、株価が動く背景にはいろんな要因と市場心理が隠されているのです。
※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











