孤独がしんどすぎた中学1年の僕が、“いまの自分”に名前をつけたら、心がふっと軽くなった写真はイメージです Photo:PIXTA

自分の人生に「コンセプト」を作れば、生きていくのが楽になる。透明人間となった海外での学生生活で救われたのは、自ら考えた「ユニークな辛さ」というコンセプトだった。幼少期を海外で過ごした著者が伝える“道なき時代”の歩き方とは。※本稿は、コピーライター澤田智洋『人生にコンセプトを』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

自ら志願してイギリス人学校へ
そこで直面した厳しい現実

 中学1年生のとき、私は透明人間でした。しかも1年間ずっと。当時フランスに住んでいたのですが、「英語を学べる学校に行きたい!」と自ら志願し、パリのイギリス人学校へ転校したことが原因でした。

 まったく英語が喋れない状態での入学。転校直後こそ、同級生たちがワーっと集まってきて、私が抱えていた英和辞典をペラペラとめくりながら「この英語は日本語でなんていうの?」と尋ねてくれました。ところが3日もすると、みんながサーっと音を立てて周りからいなくなったのです。私という流行が見事に去りました。

 そして、私は透明人間になりました。いじめられているわけじゃないけれど、誰も話しかけにこないし、目も合わせてくれない。学校の教室は、すべて2人がけの席で構成されていましたが、クラスの人数は奇数。必然的に、私は毎日1人で座ることになりました。私の隣だけ誰もいない。絶望です。毎日の朝食も喉を通らなくなりました。人生終わったと思いました。

 浮いているけど、打つ手がない。万事休す!と思いきや、私を救ってくれたのがコンセプトなんです(このときは「コンセプト」という言葉も知りませんでしたが)。