映画『国宝』は吉沢亮・横浜流星の演技だけじゃない!「組織崩壊のリアル」が詰まったビジネスパーソン必見の作品だPhoto:SANKEI

映画『国宝』はなぜロングヒットしているのでしょうか。吉沢亮さんや横浜流星さんらの素晴らしい演技はもちろんですが、どこの職場や家庭でも起き得る「組織崩壊のリアル」と「再生の軌跡」が見事に描かれていると感じました。マーケティングやブランディングの「ファンづくりの鉄則」も隠れています。(FiveVai CHO、経営コンサルタント 加藤芳久)

映画『国宝』興行収入150億円超のロングヒット
吉沢亮さんや横浜流星さんの人気だけではない

 映画『国宝』が6月公開から5カ月が経過してもなお、ロングヒットしています。興行収入は150億円を突破し、邦画実写の歴代最高記録を塗り替える勢いです。

 なぜ、歌舞伎という一見すると取っつきにくいテーマの映画が、老若男女問わず支持されているのでしょうか。スマホで配信動画を見るのが主流の若いZ世代も、映画館に足を運んでいます。

 その理由は、主演の吉沢亮さんや横浜流星さんの人気だけではないと思います。マーケティングやブランディングで言うところの、顧客へ提供できる価値とは何か、「ファンづくりの鉄則」が隠れています。

 加えて、筆者は組織づくりやリーダーシップに長年携わってきたので、この映画を観て、どこの職場や家庭でも起き得る「組織崩壊のリアル」と「再生の軌跡」が見事に描かれていると感じました。

 吉沢亮さんが演じる主人公・立花喜久雄の生き様は、「狂気」を感じさせ、「孤高のプロフェッショナル」そのものです。しかし、彼のような強烈な「個」が組織(作中の花井家)に加わった時、既存の秩序や人間関係が恐ろしく変化していきます。

 組織のトップでリーダーは、渡辺謙さんが演じる花井半二郎。リーダーとフォロワーを支えるのは、寺島しのぶさん演じる幸子。この夫婦のひとり息子で、横浜流星さん演じる俊介が、崩壊した組織と人間関係を再生へと導くキーパーソンです。

 花井家という組織における人間関係がどのように変化し、物語が激動するのか。崩壊と再生の顛末を見届けることで感動するのはなぜか。次ページからネタバレを含みながら追っていきます。