「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなアプローチで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高い評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

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(1) 損切りが遅い

「損切りの遅さ」は、多くの個人投資家に共通する悪い癖だと、窪田さんは『株トレ』で強調しています。

 買い値にこだわらず、チャートで「売りシグナル」が出た時点で、迷わず売ることが重要だと言います。

『株トレ』では、さまざまな売りシグナルを紹介していますが、たとえば、売買高を伴って急落している局面などが、その典型です。悪材料を見た機関投資家が急いで売っている場合が多く、ただちに損切りするのが鉄則です。

(2) ナンピン買いをしてしまう

 もう1つの典型的な悪い癖は、ナンピン買いで含み損を膨らませてしまうことです。

「この会社は優良企業だから」といった先入観にとらわれ、売りシグナルを無視して買い増しをしてしまう。これこそが、損を拡大させる行動です。

 資産を増やすために重要なのは、悪い銘柄を早く手放すこと。足を引っ張る銘柄を抱え続けるほど、ポートフォリオ全体のパフォーマンスも下がります。逆に、良い銘柄を長く持ち続けることができれば、資産は増えていきます。

 特に、移動平均線が下向きの銘柄には注意が必要です。移動平均線は企業の長期的な価値を映すもので、これが下がっている株を安易に買うのはリスクの高い行動です。

 保有している株のチャートを並べてみた時に、移動平均線が下向きの銘柄ばかりだったら要注意だと、窪田さんは語っています。

チャートで見る「損切りの判断」

 では実際に、『株トレ』で紹介されているチャートを見てみましょう。

株で大損してしまう人に共通する考え方「2つの特徴」『株トレ』より

 半年前に、このチャートの銘柄を4,300円で100株購入したとします。

 その後、株価は5,250円まで上昇しましたが、悪材料が出て急落し、現在は3,600円付近となっています。SNSでは「絶好の買い場だ」という声も上がっています。

 あなたなら、この状況でどう判断しますか?

 窪田さんの答えは明快です。「すぐに損切りすべき」。

 このチャートでは、13週移動平均線が26週移動平均線を上から下に抜ける「デッドクロス」が発生し、移動平均線は下を向いています。さらに、過去1年の安値も更新しています。

 つまり、明確な下降トレンドに入っているのです。

株で大損してしまう人に共通する考え方「2つの特徴」『株トレ』より

「損切りしたくない」という心理は、誰にでもあります。しかし、値下がりしている銘柄を損切りせずに放置すれば、損失はますます拡大していく。これが現実です。

「どう勝つか」ばかりに目が向きがちですが、負けを小さく抑えて、伸びている株に資金を回すことこそ、資産を増やすために必要な行動なのです。