これまで来日した中国の障害者や高齢者事業の関係者たちは、「日本の街と公共施設で障害者をよく見かけることが印象に残る」と感想を述べることが多かったこれまで来日した中国の障害者や高齢者事業の関係者たちは、「日本の街と公共施設で障害者をよく見かけることが印象に残る」と感想を述べることが多かった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

体に障害がある台湾の人気歌手が、中国・深センの空港で体験したできごとを投稿したところ、中国のSNSが炎上した。世論は一夜にして同情から非難へと反転し、「障害者は外出すべきではない」という声まで噴出した。一方、日本で見かけた車椅子の乗客の様子を映した動画には「これが真の文明社会だ」と絶賛の声が。経済発展を遂げた中国社会になく、日本には当たり前にあるものとは何なのか?(日中福祉プランニング代表 王 青)

日本には障害者が多い?

「なぜ、日本にはこんなに障害者が多いのか?」
「中国には身体障害者がなぜ少ない?」

 あるきっかけで、このような疑問や議論が、中国のSNSで話題となっている。

 ことの発端は、10月下旬に、台湾出身の歌手であり、身体障害者である鄭智化氏が、中国・深センの空港で遭遇したできごとを、Xの中国版である「微博(WeiBo)」に投稿したことだった。

 投稿によると、鄭氏が飛行機に搭乗する際、搭乗用のリフトと機体の玄関ドアの間に25センチの段差があったため、車椅子で機内への移動ができなかった。リフトを操作するスタッフは昇降台を上げようとせず、周りのスタッフもそっけない態度だったため、鄭氏は大変狼狽し、いわく「転がり、はい上がる(連滾帯爬)」ような姿で搭乗せざるを得なかったという。鄭氏は「深セン空港の障害者への対応は、まったく人間味がない」と非難した。

 この「連滾帯爬」というのは、ちょうどこの頃ネットで大流行していた、台湾の政治家・王世堅氏が議会で言った「従従容容、連滾帯爬」という言葉から来ている。発言そのものは2017年だったのだが、なぜかこれが今年10月に中国のネットで流行し、この言葉を歌に改変した動画が爆発的にバズった。鄭氏は自分が飛行機に搭乗する姿を流行のネットスラングになぞらえて投稿したわけだ。