中国鉱山企業がアフリカで環境汚染、被害者に圧力壊滅したトウモロコシ畑にたたずむバトシェバ・ムソルさん

【カルサレ(ザンビア)】アフリカ南部ザンビアに住むバトシェバ・ムソルさん(48)にとって人生最悪の日は、耳をつんざくごう音から始まった。村の上方にある中国系銅山の有毒廃棄物貯留池を取り囲んでいる高さ約9メートルの壁が崩壊したのだ。

 悪臭を放つ黄色い液体が有毒な川となって斜面を流れ落ち、住宅や農地を水浸しにした。彼女が8人の子どもを養うため、トウモロコシを栽培していた畑もそこにあった。シアン化合物とヒ素を含んだ洪水が胸の高さまで達した。「溺れ死ぬのだと思った」。ムソルさんは最近のインタビューでこう語った。

 2月18日の災害発生から数カ月たった8月、この銅山を運営する中国国有・中国有色鉱業(チャイナ・ノンフェラス・マイニング)傘下のシノ・メタルズの関係者が、ムソルさんの広さ約2000平方メートルの農場に現れた。ザンビア政府はこの農場が有害物質に汚染され、少なくとも3年間は作物栽培に適さないと判断した。

 関係を修復するために来たと彼らは言った。ムソルさんはそう振り返る。提示額は150ドル(約2万2800円)。条件つきだった。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した他の被害者への提示書によると、金銭を受け取るためには、流出事故について一切口外せず、シノ・メタルズに対して訴訟を起こさないこと、また秘密保持契約の内容自体も明かさないことに同意する必要があった。地元の環境活動家らによると、全被害者にこうした条件が提示された。