他人と比べて落ち込んだり、過剰な成果主義に疲れたり、自己成長効率化への欲求から逃れられず、心がすり減ってしまう…。「求めるばかり」の生き方から抜け出し、人生に「真の幸福」を取り戻すにはどうすればよいのだろうか。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏も紹介し韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説する。

人間が完全に自分でいられるのは、ひとりでいるときだけだ。つまり、孤独を愛さない者は自由を愛していないのである。

孤独を愛し、自分の時間をもつ

人間が完全に自分でいられるのは、ひとりでいるときだけだ。
つまり、孤独を愛さない者は自由を愛していないのである。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

私たちは、予定や通知に囲まれて一日を過ごす。

他人と常時接続する毎日のなかで、なぜか自分の存在を小さく感じることがある。

この一節は、その原因が「ひとりの時間の不足」にあると教える。

孤独は、ただの寂しさではない。

他人の期待や評価からいったん離れ、自分の考えに光を当て直すための静かな場である。

自由を感じるとは、外の音量を下げ、自らの心の声を聞き取れることだ。

孤独を避け続けると、自分の心の声を聞く力は弱くなる。

ひとりの時間は、特別な儀式でなくてよい。

朝、スマートフォンを触る前に三分だけ目を閉じる。

通勤の10分間だけ、音楽もニュースも消して歩く。

昼休みに短い散歩をして、浮かんだ考えをメモに残す。

夜、今日うれしかったことを日記に書いて、誰にも見せないまま閉じる。

これらは他人が求める成果に直結しないが、あなたの判断の土台を静かに整える。

孤独は自分勝手とは違う。

むしろ、他者に流されない分だけ、自分と他人との関わり方を丁寧に選べるようになる。

ひとりで過ごす時間があると、断る言葉も落ち着いて言えるようになる。

そして、引き受けると決めたことには、集中して力を注げる。

その繰り返しが、自分の輪郭をはっきりさせる。

自分の輪郭がはっきりするほど、自由は遠い理想ではなく、今日の小さな実感へと近づく。

孤独を愛するとは、世界を拒むことではない。

世界に出ていくために、まず自分の中心に戻ることなのだ。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)