【解説】3つの重要なポイントを読み解く

この壮絶な体験談は、単なる成功譚としてではなく、私たちが学ぶべき多くの示唆に富んでいます。

筆者の投資哲学から、3つの重要なポイントを読み解いていきましょう。

1.「確信」を生む徹底的な分析

筆者は「死」を意識するほどの逆境の中で、冷静に分析を重ね、「造船業界が大きく盛り上がる」という結論に達しました。

これは、なんとなくの期待や他人の情報に流された投資とは対極にあるものです。業界のサイクル(マクロ)を読み、その中で最も有望な個別銘柄(ミクロ)を見つけ出す。

私たち個人投資家も、他人に推奨されたから買うのではなく自分自身が「これだ」と確信を持てるまで、徹底的に分析する姿勢が求められます。

2.「集中投資」を支える覚悟

「10億円超の一点集中」は、通常の分散投資のセオリーから見れば非常に高リスクな手法です。しかし、筆者にはそれを実行できるだけの「確信」がありました。

これは、中途半端な分析と自信では決して真似できない「覚悟」の表れです。自分の分析結果を信じ抜き、大きなリスクを取ることで、想像を超えるリターンを得たのです。

全ての投資家が同じ手法をとるべきではありませんが、自らの分析に絶対の自信がある場合、集中投資は資産を飛躍させる選択肢となり得ます。

3.投資を続ける「原動力」の明確化

資産50億円を達成してもなお、「全力で株を買い続ける」という筆者。その根底には、「二人の娘たちに遺す」という明確な目的と、「生きている証」を残したいという純粋な情熱があります。

私たちが投資を続けるうえでも、「なぜ自分は投資をするのか?」という原動力(軸)を明確に持つことが重要です。それが、市場の変動に一喜一憂せず、長期的に投資と向き合い続けるための強力な支えとなるでしょう。

※本稿は『50万円を50億円に増やした 投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。