
近年、株主優待の新設が相次いでいる。優待といえば企業の自社製品や、買物割引券、食事券、QUOカードなどの金券が定番だ。しかし、これらの定番優待とは異なる、“体験型”の株主優待が個人投資家の間で人気となっている。2025年秋に開催された稲刈り体験の株主優待にダイヤモンド・ザイの編集部員が参加し、その魅力を探ってきた。(財前孝汰郎、ダイヤモンド・ザイ編集部)
炊き立てのコシヒカリ・稲刈り・おにぎりと
お米づくしの大満足の一日に!
今回、ザイの編集部員が参加した稲刈り体験はヤマタネ(9305)が提供する株主優待。ヤマタネは米卸を祖業とし、現在は物流・食品事業を軸とする総合サービス企業だ。2023年に優待内容を大幅に拡充し、1000株以上保有の株主を対象に「棚田での米作り体験(抽選制)」を新設した。存続の危機に直面する棚田の保全活動に、株主とともに取組むことが目的だという。抽選に当たった株主は、絶景スポットとしても名高い新潟県十日町市にある星峠の棚田で開催される、「春の田植え」と「秋の稲刈り」の両方に参加することができる。
※株価等データは2025年11月7日時点のもの。最低投資額は田植え・稲刈り体験に応募するために必要な金額。拡大画像表示
星峠の棚田。新潟県十日町市に点在する棚田の中でも最も人気があるスポット。春の雪消えから田植えまでの時期と、秋の10月後半から積雪前までの時期には、田んぼにたまった水が周囲の風景を反射する「水鏡」と呼ばれる絶景が見られる。
稲刈りには全国から約50名の株主が参加。株主1名につき3名まで同行者を指定して申し込むことができるため、子どもを連れてファミリーで参加する株主もいた。50~60代の夫婦での参加が多く、男女比はほぼ半々。加えて、ヤマタネの社員も15名ほどが参加。総勢60人超が協力して稲刈りを行う。
朝10時に越後湯沢駅に集合、13時から稲刈りが始まり、15時頃に作業が終了。17時に越後湯沢駅で解散のスケジュールだ。当日の天候は快晴。長袖シャツ1枚で快適に過ごせるくらいの涼しい1日で、絶好の稲刈り日和だった。
越後湯沢は東京駅から新幹線で1時間半ほどと、アクセスは非常に便利。そこからは、会社が用意した観光バスで移動し、11時30分頃に昼食会場に到着。河原田岩夫・代表取締役社長のユーモアあふれる挨拶があった後に、炊き立てのお米と地元野菜をふんだんに使用したお弁当をいただく。お米はこの秋収穫したばかりの新米「魚沼産コシヒカリ」。炊き立ての新米はつやつやの輝きで、噛んだ時に広がる甘みが格段に違った。腹ごしらえがすんだら、13時からいよいよ稲刈りが始まる。
魚沼産の炊き立てのコシヒカリはおかわり自由。香りも味も抜群だ。
田んぼに到着すると、黄金色に輝く一面の稲に株主から驚きの声があがった。春に自分の手で田植えをした稲だからこそ、その見事な成長に喜びも大きい。稲刈りの指導を担当したNPO法人の方によると、今年は雨量が少なく稲の育ちが悪い田んぼが多かったようだ。しかし、株主が田植えをしたこの田んぼは幸運なことに出来がよかったという。
稲刈りの様子。田んぼは小高い丘に位置し、星峠の棚田が一望できる。







