入社して4年目、私も還暦の誕生日に
「一郎、60歳」と書いてつけてみた
さて、このバースデーシール、ゲストだけでなくキャストが自分の誕生日につける*ことも認められている。入社して4年目、私も還暦の誕生日に「一郎、60歳」と書いてつけてみた。
オンステージに出るときは、年甲斐もなくドキドキしてしまった。その日はファンタジーランドの「キャプテンフックス・ギャレー」というピザのお店を清掃する担当だった。屋外にたくさんのテーブルとイスがあり、そのあいだをくまなく回って清掃する。
清掃を始めて少し経ったころ、
「おめでとうございます!」
10代と思われる女性グループのゲストから声をかけられた。初めてのことにドギマギし、なんと返事をしていいかわからず、あいまいに微笑み返すのが精いっぱいだった。
笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記』(三五館シンシャ)
その後も次々と「誕生日おめでとうございます」と声をかけられた。だんだんと慣れてきて、「ありがとうございます」と快活に返事ができるようになっていった。最終的にはその日一日で30人ほどのゲストから祝福の言葉*をいただいた。
その中にはギャル風の女子高生グループもいた。彼女たちがほかのどこかで赤の他人である私の誕生日を祝うことなどありえない。これも“夢の国”の魔法のひとつなのだろう。
女子高生グループからの世代を超えた祝福は、恥ずかしさの中に嬉しさが灯る、なんとも言えない心持ちであった。その経験をして以降、私もより多くのゲストに祝福の言葉をかけてあげたいと思うようになった。こうして私もバースデーシールをつけたゲストを見つけると、自然と祝福の言葉が出るようになっていった。
バースデーシール
はがれやすいので、何回でもリクエストして大丈夫である。また、バースデーシールほど知られていないが、「デビューシール」というシールもある。初めてパークを訪れた子どもに来園の日付と名前を書き入れて渡す。バースデーシール同様、「メインストリート・ハウス」やキャストからもらう。研修で行ったカリフォルニアのディズニーランドではバースデー缶バッヂをもらった。本場は少しだけ豪華であった。
はがれやすいので、何回でもリクエストして大丈夫である。また、バースデーシールほど知られていないが、「デビューシール」というシールもある。初めてパークを訪れた子どもに来園の日付と名前を書き入れて渡す。バースデーシール同様、「メインストリート・ハウス」やキャストからもらう。研修で行ったカリフォルニアのディズニーランドではバースデー缶バッヂをもらった。本場は少しだけ豪華であった。
祝福の声がけ
ゲストとすれ違った直後にバースデーシールに気づいて、声がけが間に合わないこともある。こんなときは「しまった」と思うが、追いかけていってまで声がけはできない。時すでに遅しである。
ゲストとすれ違った直後にバースデーシールに気づいて、声がけが間に合わないこともある。こんなときは「しまった」と思うが、追いかけていってまで声がけはできない。時すでに遅しである。
バースデーシールをリクエスト
ちなみに「誕生日」はゲストの自己申告によるものなので、その日が誕生日でなくてもまったく問題はないし、一枚だけでなく、何枚もらっても大丈夫である。
ちなみに「誕生日」はゲストの自己申告によるものなので、その日が誕生日でなくてもまったく問題はないし、一枚だけでなく、何枚もらっても大丈夫である。
彼のイラスト
土屋さんは50代のおじさんで外見上はとてもプリンセスの絵が上手なようには見えない。人は見かけによらないのだ。彼のイラストは一部のゲストのあいだでも有名で、オンステージで「今日は土屋さん、来ていますか?」と尋ねられたことが何度かある。ゲストから喜ばれることが彼のモチベーションアップになっていることは間違いなかった。
土屋さんは50代のおじさんで外見上はとてもプリンセスの絵が上手なようには見えない。人は見かけによらないのだ。彼のイラストは一部のゲストのあいだでも有名で、オンステージで「今日は土屋さん、来ていますか?」と尋ねられたことが何度かある。ゲストから喜ばれることが彼のモチベーションアップになっていることは間違いなかった。
書き添えるのは禁止
私の現役時代にはグレーゾーンで、厳しく禁止されているわけでなく、黙認されている感じだった。
私の現役時代にはグレーゾーンで、厳しく禁止されているわけでなく、黙認されている感じだった。
ほかの作業に支障
土屋さんは休憩時間中もずっとスケッチブックにイラストの練習をしていた。あくまで休憩時間だったので、作業に支障が出ていたわけではないと思うが…。
土屋さんは休憩時間中もずっとスケッチブックにイラストの練習をしていた。あくまで休憩時間だったので、作業に支障が出ていたわけではないと思うが…。
キャストが自分の誕生日につける
あるとき、テスト的にキャストがつけるのもOKということになった。また、私もバースデーシールをつけているキャストを見たら、面識がなくても祝福の声をかけるようにしていた。声をかけると、どのキャストも一様に嬉しそうだった。
あるとき、テスト的にキャストがつけるのもOKということになった。また、私もバースデーシールをつけているキャストを見たら、面識がなくても祝福の声をかけるようにしていた。声をかけると、どのキャストも一様に嬉しそうだった。
ゲストから祝福の言葉
嬉しかったので帰宅して妻に報告した。「えっ、30人も声をかけてくれたの!? すごいじゃない。きっと還暦のおじいさんが老骨にムチ打って頑張ってる姿を見て、同情したんじゃないの」と妻は言った。
嬉しかったので帰宅して妻に報告した。「えっ、30人も声をかけてくれたの!? すごいじゃない。きっと還暦のおじいさんが老骨にムチ打って頑張ってる姿を見て、同情したんじゃないの」と妻は言った。







