会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

ダメなリーダーは「なんでも言ってね」と言う。優秀なリーダーは何と言う?Photo: Adobe Stock

傾聴とは「相手の話を最後まで聞くこと」ではない

リーダーに必要なスキルの一つに「傾聴」が挙げられます。最近、よりこの傾聴の重要性が高まっていると感じます。

相槌を打ち、共感の言葉をかけ、話をさえぎらずに最後まで聞く。そうすることで、メンバーは言いたいことが言えるようになる。そう語られています。

実際に「傾聴」の本やセミナーでは「相手の話を遮らない」「アドバイスをしない」「ジャッジしない」といったことが強調されます。

確かにこれらは大切です。でも、これだけで相手が言いたいことが言えるようになると考えるのはかなり危険です。というか、勘違いです。

というのは、相手が言えない理由は、「こちらが聞かないから」だけではないからです。確かにこちらの聞く姿勢に問題があれば、相手は言いづらくなって言えないでしょう。しかしそもそも相手が「言えない」のは、「話がまとまっていない」「何をどう言っていいか自分でもわからない」ということもある。その時にいくら聞く姿勢を整えたところで意味がありません。

人が相手に伝えるときには

① 自分の中で「何」を伝えるべきかを考える(明確にする)

② 相手が理解できるように内容を整理する

③ 相手に伝える

という3つのステップをたどっています。

相手が言いたいことを自分で明確に持っているときは、こちらは黙って最後まで聞くことが重要です。

しかし相手が「なんて言っていいかわからない」と感じているときに、「なんでも言ってくれていいよ」と投げかけても相手は何も言えません。むしろプレッシャーになるだけです。

そして、言いたいことを明確に認識できているケースは、じつはそれほど多くないんです。