すべてにアルピナマジックを実感
エンジンもステアリングの正確性も抜群

 E36時代からアルピナをテストドライブしているが、やはりこのブランドの得意とするのは3シリーズボディだと思う。彼らが理想とするハンドリングと身のこなしはこのサイズでこそ具現化されている気がする。5シリーズベースのB5やD5といったラインアップも魅力的だが、それは少し路線が異なる。運動性能とラグジュアリーの融合といった感が強い。

 D3 Sツーリングのパワーソースは3L直6ディーゼルツインターボ+マイルドハイブリッドという設定。アルピナがディーゼルエンジンを手がけると、こんなにスポーティになるのかと驚かされる。鋭く吹き上がるさまは明らかにこれまでのディーゼルの印象とは別。回転ゲージのマックスが6000rpmになっているが、イメージでは8000rpmくらいまで吹き上がりそうだ。このあたりは電動化以前からその味を体験しているが、これもまたアルピナマジックと呼べる仕上がりだ。

 今回はそこにさらにモーターがアシストされたのだから申し分ない。48Vのバッテリーとベルト駆動のスタータージェネレーターからなるこのシステムはディーゼルのネガティブポイントである瞬発力をしっかりサポートする。スタートからそうで、アクセルはクイックレスポンスではないのに、それ以上に鋭い加速を見せる。

 さらにいえば、ディーゼルの短所である停車時の振動や騒動はアイドリングストップとモーターでカバーできる。停車時はエンジンを止め、そこからモーターで動き出すのだから問題なし。ディーゼルにとってアイドリングストップ&モーターとの相性はバッチリなのだ。

 スペックは最高出力が355ps、最大トルクは730Nmとなる。とくにトルクの数値はこのサイズからは想像できないほど大きい。アルピナはこの太いトルクを最大限に活用して、クルマの絶対的なスピードを約束しながらジェントルな走りを提供してくれる。0→100km/h加速は4.8秒、巡航最高速度は270km/hを叩き出す。