元フィデリティ投信の投資調査部長を務めた著者であるポール・サイさんが「S&P500」の3倍超という驚異的なリターンを生んだ米国株の投資術を初公開! ポール・サイさんが株価低迷期にエヌビディアを買い、成長を見抜けたのは、企業に潜む「成長のストーリー」を見抜いたから。初の著書『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』では、そんな、成長ストーリーの読み解き方から、銘柄選びの極意、買いのタイミング、暴落時の対処法、リスク管理までを体系的に解説。さらに、厳選した“10倍株”候補の8銘柄も特別公開!新NISAで投資を始めた人、日本株から米国株へとステップアップしたい人に最適な、“米国株で勝つための決定版”だ。今回は、その『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』からエヌビディアの“底”を見抜けた理由を抜粋し解説する。
ポール・サイストラテジスト
UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。外資系大手資産運用会社フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長を歴任し、12年以上にわたり株式調査に従事。2017年に独立し、40代でFIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成。現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用しながら、メルマガ等で個人投資家への助言を行う。台湾系アメリカ人で、中国語、英語、日本語に堪能。(写真:圷邦信)
エヌビディアが暗号資産と一緒に沈むはずがない!
2022年当時、エヌビディア株は、奈落の底へ向かうように下落していました。それは暗号資産相場が弱かったからです。この時、暗号資産相場の下落につられる形で、エヌビディアの株価も大きく下落していたのでした。

しかし、GPUの用途は幅広く、エヌビディア株と暗号資産相場が連動し続けるとは思えませんでした。また、暗号資産相場の先行きを読むことは難しいですが、暗号資産相場自体もどこまでも下げ続けるわけではなく、やがて反発する局面も訪れると考えました。
過去と同じ“60%下落”はチャンスのサインだった!
私はチャート分析から銘柄を発掘することはありませんが、狙いを定めた「優れた会社」の買い時を探る段階では、チャート分析も行います。
エヌビディアの過去のチャートを見ると、2018年に大きく上昇した後に下落し、その下落率は60%近いものでした。2022年9月もピークからの下落率がほぼ同程度になっていたので、「そろそろ買い時かもしれない」と判断したのです。これが、チャート的に好機と考えた1つの要因でした。
長期の横ばいは投資家が「この値段が適正」と認めた証拠!
また、これは株価に対する私の考えですが、株式の取引は、売り手と買い手という2人の参加者が、「この価格でいいですよ」と合意することで成立します。
だから、もし株価が長期間にわたってほとんど変動せず、同じ水準で推移し続けていたとしたら、それは市場に参加する多くの投資家が「この株価こそが妥当な水準だ」と判断し、その考えを何度も繰り返し投票しているのと同じことを意味します。つまり、その価格帯は投資家たちの合意点として定着していると言えるのです。
130ドル台には“鉄壁のサポートライン”があった
実際、エヌビディアの株価は、2020年8月頃から2021年5月頃までの長い期間、130ドル台を中心とする横ばいで推移していました。これは多くの投資家が「このあたりが適正水準」と考えていたということです。
こうした水準は、その後、サポートライン(株価を支持するライン)として機能する可能性が高いのです。そして2022年9月に、株価はまさにその付近まで下落していました。そこで私は「そろそろ下げ止まるのではないか」と判断したのです。

買った直後に株価が急落しても、慌てる必要はない!
2022年9月初旬、私がエヌビディア株を買い推奨したあと、株価は130ドル台を下に突き抜け、一時は108ドル台まで下がりました。株式投資では、すべてのことが思惑通りに進むわけではありません。私はそもそも長期投資前提で投資していますし、これぐらいの下げは許容範囲です。
ただし、私はエヌビディア株がそれ以上に大きく下がると考えていませんでした。チャート上では、130ドル台を下抜けると、次のサポートラインは30ドル台までありませんでした。けれど、エヌビディアの基本的な投資ストーリー、ここまでの業績、将来的に期待できる好材料などを総合的に考えると、そこまで下がるとは到底思えなかったのです。ですから、さらなる大幅な下落を心配してはいませんでした。
チャートには“投資家の心理”が表れる!
「安くなったところで買う」というタイミングを見極めるうえで、チャートを見るのは重要なことだと考えています。なぜなら、過去の投資家たちの心理がチャートに表れているからです。だからこそ、優れた会社の買い時を探る際には、チャートを読むことが“最適な買い場”を見極めるための強力な武器になるのです。
※本稿は『台湾系アメリカ人が教える 米国株で一生安心のお金をつくる方法!』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。









