休みの日になると退屈だけど、外に出れてもすぐ疲れる――そんな心当たりはありませんか。人生の楽しみを外に置くか内に置くかで、日々の幸福が変わります。あなたの幸福の重心は、今どこにありますか?
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

一生にわたり、毎日、毎時間、自分自身でいられたら、それ以外に何も必要なものはない。Photo: Adobe Stock

自分の内側に楽しみを見出す

一生にわたり、毎日、毎時間、自分自身でいられたら、
それ以外に何も必要なものはない。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

人生を楽しむ方法は、人それぞれの能力好みによって変わる。

ショーペンハウアーは、その重心の置き方で三つに分けて考えた。

第一は、平凡な人。

満足を外側に求め、所有や地位、評判、交友に依存するため、心の明るさは環境に左右されやすい。

第二は、精神的な水準が普通の人。

学びから楽しみを見つけ、重心が外と内にまたがる。

植物学や歴史天文物理のような実用学問に喜びを見いだし、ときに絵を描くなどの趣味で不足を埋める。

第三は、精神的能力が卓越した人。

関心の中心が完全に内側にあり、事物の存在本質そのものに惹かれる。

芸術・文学・哲学を通して、自分の見解をつくり上げ、そこに深い満足を見つける。

精神的に高い欲求を持たないと、余暇に理性的な楽しみを見いだせず、退屈から逃げ出すために現実世界へ戻るが、すぐに疲れてしまう。

彼はこうした在り方を「俗物」と呼んだ。

反対に、精神の力が育った人は退屈を知らず、つねに新しい関心豊かな思考で日々を満たす。

学び研究し、考えようとする欲求が強いほど、ひとりの時間でも自由を存分に味わえる。

つまり、人生の楽しみ方は各人の資質で変わるが、自分の内側へ重心を移すほど、外部に振り回されにくい喜びに近づく。

その静かな重心が、自分として生きる時間を豊かにしていく。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)