『ばけばけ』第46回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」連載です。本日は、第46回(2025年12月1日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
銭太郎は銭の亡者じゃなかった
大好評の朝ドラこと連続テレビ小説『ばけばけ』。第10週「トオリ、スガリ。」(演出:松岡一史)では松江に寒い冬がやってきた。ヘヴン(トミー・バストウ)は経験したことのない寒さに「寒い寒い」といつものごとく大騒ぎする。
蛇(渡辺江里子)と蛙(木村美穂)は冬眠中。冬眠中なのに「見守りましょう」とはこれいかに。なんてことをツッコむドラマではない。なにしろ怪談好きな人物が主人公なのだから。
暑くても寒くても、借金取りはやって来る。
でもおなじみの銭太郎(前原瑞樹)の様子がおかしい。
トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)が借金を順調に返しすぎると文句を言う。
この回、銭太郎の名言が炸裂(さくれつ)。
「貧乏人のくせに金持ちみてえに毎月ようけえ返し腐りやがって」
「借金とりっちゅうのは返したくても返せん貧乏人の面やらケツやらはたいていびって、女子供泣かせて偉そうにして、なんぼの商いなんだけん。だどもこげにようけ返されたら商売あがったりだがね」
「今月は風邪引かんように体にようけようけ気い付けて休み休みいたわっていたわって暮らせ。そんで来月少のう返せ」等々……。
言い方は乱暴だが、寒いのに無理して働いて体を壊さないように、たくさん返さなくていいと言っているようなのだ。
本当は人情に厚い銭太郎。それはお父さんの善太郎(岩谷健司)から引き継いでいるのだろう。
借金取りは、あの手この手で借金を無理やり返させるのが仕事なので、スムースに返されたら仕事がなくなって手持ち無沙汰になってしまう。そんな銭太郎の気持ちもわかる。何事もなく成果物を受け取るだけでは仕事をしたことにならないと思い込み、特に問題なくても問題点をむりくり作り出し意味のない修正をしてくる人が時々いるのと同じかなと思う。
「あいつは相変わらず無礼だな」







