『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第107回は、自分を高めるための「志望校選び」について考える。
「こっちが正しい」という答えはないが…
東京大学現役合格を目指す龍山高校の生徒は、「自分で入試問題を作問する」という課題を課される。2人の生徒が身の回りの出来事から問題を作成したことに対して、東大合格請負人の桜木建二は他者との関係性が重要だと強調し、「学校は自分を高めてくれる相手と出会う場」と説いた。
「鶏口となるも牛後となるなかれ」という故事成語がある。「大きな集団の末端にいるよりも、小さな集団の頂点に立つ方がいい」という意味だ。
受験に関しても、この2つで迷う人は多いのではないだろうか。小学校では「神童」と呼ばれていても、市区町村や都道府県レベルで考えるとまだまだだ、という人は多い。
「偏差値が高い学校に入ったらビリになる可能性がある一方で、ややレベルを落とせばトップ層になれる」場合、どちらを選ぶべきだろうか。もちろん「こっちが正しい」という答えはない。
中学受験・高校受験の学校選びにおいて、大学受験の結果から考えてみよう。とても大雑把に言えば、開成や灘、桜蔭といったトップレベルの学校の中間層と、中堅校のトップ層は、模試の偏差値や入試の結果で見れば同じレベルだ。
それに、入学直後の成績と卒業時の成績が同じとは限らない。もちろん特定の学校の生徒だけ入塾試験が免除される塾もあるが、それはあくまで塾の運営を効率化するためであって、受験生のためではない。大学入試のことだけを考えるなら、個人的にはあまり差がないと思う。
大切なのは「どこで神童と出会うか」だ
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
むしろ考えるべきは、学力以外の面ではないだろうか。
例えば文化祭や体育祭などの行事の運営を考えてみよう。
レベルが高い学校になればなるほど高度に組織化されているし、それらを運営する優秀な人材が集まっている傾向がある。だから、組織全体で見れば自由度は高いかもしれないが、1人の力で大きく改革するのは難しいし、その「1人」に自分がなれるとは限らない。
もし「イベントに積極的に関わっていきたい、1から作り上げるのが好きだ」というならば、レベルを抑えた学校にいくのがいいかもしれない。私自身もそのタイプだ。自分の力で動かせる幅が大きいし、その組織の中でトップになれる確率も高い。
「勉強もそこそこできるし、運動や行事も率先してやる」オールマイティー型ならば、鶏口の方が能力を生かせるだろう。率先して組織を引っ張ることが身につけば、卒業後も役に立つ。
逆に、「これだけは誰にも負けない興味関心の分野がある」というならば、トップ校に行くことをおすすめする。なぜならば、同じ分野で同じ自信を持っている人と出会えるかもしれないし、何より違う分野のトップレベルの同年代と出会える可能性があるからだ。科学オリンピックの入賞者を見てみると、やはりトップ校の生徒が目立つ。
全ての分野で80点を出せるなら、中堅校へ。どれか1つでも120点を出せるなら、トップ校へ。極端にまとめると私の体感はこんな感じだ。要するに、自分以外の「神童」とどこで出会うか、という話だ。
中学・高校で世界を知るのか、大学受験で世界を知るのか。あるいはそれすらを超えて同世代のNo.1になるか。受験となると成績だけで考えがちだが、自分の性格も大事にすることを忘れてはならない。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







