香港高層マンション火災Photo:China News Service/gettyimages

 香港の高層住宅で26日午後に発生した火災は、瞬く間に広がった。

 火災発生から約10分後に消防士のホウ・ワイホ氏が同僚と現場に到着すると、炎は31階建ての高層住宅を覆う緑色の網や竹の足場を駆け上がっていた。その30分後、消防隊はホウ氏と連絡が取れなくなり、火は5000人近くが住む大埔区の高層住宅群「宏福苑(Wang Fuk Court)」の7棟を包んだ。

 住民は火災の中で避難を試みたが、住居ビルの上層階に閉じ込められた。また濃い煙はビルの階段に充満し、海沿いの開発地区の上空にまで立ち上った。

 当局は火災によって少なくとも94人が死亡したと発表。176人が犠牲となった1948年の倉庫爆発以来、今回の惨事は香港で最も多くの犠牲者を出した火災となった。その規模は、2017年に英国で発生し70人以上が死亡したグレンフェル・タワー火災とも比較されている。

 住民や当局者は、火災がなぜこれほど迅速に甚大な被害をもたらしたのかという疑問に直面している。

 出火原因はまだ不明だが、当局は、現場の改修工事が安全基準を満たしていたかどうか疑問視している。また窓の密閉に使用された発泡スチロールや保護ネット、キャンバス、そしてプラスチック製シートなど、火災を加速させた可能性のある可燃性材料も発見されている。

 香港当局は27日、建設会社の責任者が「重大な過失」に関与したと非難し、過失致死の疑いで3人の男性を逮捕した。

 消防士たちはホースを使って消火にあたったものの、火災は夜を通じて翌日まで燃え続けた。極度の高温のため、一部の建物には救助隊が入ることができなかった。

 ホウ氏はその後、顔にやけどを負った状態で発見され、近くの病院で死亡が確認されたと消防当局は明らかにしている。また27日夜の時点で、負傷者は約70人に達している。

 現場では多くの人が火災で閉じ込められている家族を捜し続けた。