「大学3年生です。就活がうまくいっている友人の話を聞くのが正直つらいです」
『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、早期化する就活について著者である「就活マン」こと藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
Photo: Adobe Stock
自分のペースを大事にする秘訣
僕はこれまで8年間、ひたすら就活ブログを書いてきたので、多くの就活生から悩みを聞いてきました。中でも多いのが「友達が内定を取って焦る」というもの。この気持ちは痛いほど分かります。
振り返ると、中学生の頃、周りの友達がぞくぞくと塾に通い始めました。
母子家庭だった僕は「塾なんて高くて通えない」と通うことを選ばず、やがて成績の差があっという間に開いていきました。
元々勉強が嫌いだったこともあり、とにかく焦りました。「私立の高校には行けない!」というプレッシャーも強く感じたのを覚えています。
就活で感じる周りとの差と、この経験はとても似ています。人はどうしても身近な人と自分を比べてしまうものです。
ですが、中学のときに「自分の学力に合う高校に行けばいいんだ」と考えたことで、僕は一気に気持ちが楽になりました。
一番仲の良かった友達は成績が常に上位で、目指すのは地域で一番の進学校。
その友達に合わせて「自分もそこを目指さないと負けだ」と焦っていたのですが、冷静に考えると、自分が進学校に入っても周りとの差が大きく、きっとついていけなくなるだろうと思ったのです。
それなら自分のペースで勉強して、自分に合う高校に行けばいい。人は自然と収まるところに収まる。そう思えるようになってから、周りと比較する癖が減りました。
比較することを受け入れたうえで上書きする
就活で友達が多くの内定を取って焦るのも、同じく「比較」が原因です。人間はどうしても比較してしまう生き物なので、「仕方ないことだ」とまずは受け入れることが大切です。
そのうえで、「その人と自分は違う」という認識で上書きすること。これが重要だと僕は考えています。
友達が総合商社や有名メーカーから複数の内定をもらっていても、その会社が自分にも合うとは限りません。むしろ、冷静に考えると「合わないかも」と思うことも多いはずです。
拙書『脇役さんの就活攻略書』でも書きましたが、「大手に入ることが正解」ではなく、「自分に合った企業に入社することが正解」です。
大手が合う人もいれば、合わない人もいる。
僕は一人で発想し、作業を進めるのが好きなタイプだったので、大企業は合いませんでしたが、同期には「ここがぴったりだな」と感じる人もたくさんいました。
就活ではどうしても「内定の数が多い人がすごい」「大手から内定を取った人が勝ち組」という考えになりがちです。
しかし、そんなに単純ではなく、結局は入社した会社が自分に合っているかどうか。それに尽きると僕は思います。
就活は「早く終わった方が良い」ではない
焦りについてもう少し深掘りすると、最近の就活はとにかく早期化しています。僕のブログのアクセス推移を見ても、ピークは3月で、4~5月には急激に落ち着く。早期化が進んでいる証拠です。
早期化すると「自分も早く内定を取らなければ」と焦りやすく、その結果、適当な会社選びにつながる危険があります。
拙書では第8章に『脇役さんの「内定後」』を設け、「内定後に本当に入社すべきかをじっくり考える時間を持つべき」と書きました。
多くの就活本が内定をゴールにしていますが、内定を獲得できたら、じっくりとその会社が自分に合うか確認する作業が大切なのです。
だからこそ、どれだけたくさんの内定を獲得している友達がいても、その企業が自分に合うかどうかの確認作業を怠っているのなら、入社後にすぐに辞めてしまう可能性も高いのです。
就活が早期化することで、企業側も採用に焦っているため、早く就活を終えるよう促してくる場合があります。
ですが、大事なのはスピードではなく、自分に合う企業を見極めること。時間をかけてもいいので、納得できる会社選びをしてみてください。
そのためにも、今回お伝えした「比較するという本能を受け入れたうえでの認識の上書き」を意識し、焦らず自分のペースで就活を進めてくださいね。
あなたの就活を、心から応援しています。








