新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回の記事では、「お金をかければ高学歴になる」は本当なのか、孫氏と『1%の努力』著者のひろゆき氏の特別対談をお送りします。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

親 干渉ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

子どもに干渉しすぎる親

孫辰洋氏(以下、孫氏): お金持ちで子どもにいい学歴を手に入れてほしいけど空回りしてしまう人って多いと感じます。これが顕著なのが、子どもが親へのコンプレックスをこじらせすぎてるパターン。うちの塾に入ってくる家庭で、高校から入学してくる家庭だと特に、親が自分の権力を子どもに誇示したがるケースがあります。

ひろゆき氏: へえ。

孫氏: 「これ買ってあげたでしょ。この塾も通わせてあげたでしょ」っていうコミュニケーションの取り方をする親は、子どもからめっちゃ嫌われ、コンプレックスに苛まれて、結果的に人生うまくいかないというパターンは結構あるんです。

ひろゆき氏: 親の過度な干渉は親子関係が破綻するんじゃないですかね。先ほどの話じゃないですけど、「これやってあげたでしょ。だからこれをしなさい」みたいなのって、ま、干渉ですよね。

例えば、親がIT系の仕組みを理解できていないのに、ITより地方銀行に行け、みたいな古い価値観を押し付けてしまうのは典型例ですよね。親が子どもの就職に口を出すということが良くないんですよね。ITの会社は仕組みを分かると他の会社に転職しやすいので、よっぽどそっちの方が将来安泰なんですけど、親はそれが分かっていない。

あと、親の過度な干渉は、子どもが「親に決められたことだから今の自分が幸せじゃないのは親のせい」という気持ちになってしまい、自分で乗り越えようという気持ちにならないという点で弊害がありますよね。

子どもへの干渉を減らすために

孫氏: 今は、塾が生徒に教えるよりも、親の過干渉から子どもを守る塾の方が今流行っている印象があります。親が干渉しがちなのを自ら止める、または減らしていくにはどうすればいいと思いますか?

ひろゆき氏: 小さいうちから、子どもが間違っているなと思ったとしても、親が折れるというのを何回やってきたかによると思うんですよね。たとえば、夜更かしすると言って聞かない場合、「遅刻するよ」と言った上で、そのまま一度失敗をさせる。「親の言うことを聞かない」という経験を積ませるのは大切なんじゃないかなと。

孫氏: 親の言うことを聞かないという経験を積ませるって逆説的で面白いですね。

ひろゆき氏: あと、その多分人間の性格なものでほぼ変わらないだろうなと思ってるのが、休みの宿題をいつやるか問題です。この問題って多分一生変わんないんですよ。8月30日、31日にやるやつってやっぱ一生そういうやつなんです。

親は無理やりやらせるのではなくて、その子に合わせたやり方とその子に合わせた人生にしなきゃいけないよねって諦めなきゃいけない。無理やりやらせても本質的な性格は変わらないんで、親離れした時に結局8月31日型に戻っちゃう。

「本当に頭のいい子」を育てる非課金戦略

孫氏: 年収に関係なく「お金をかけずに高学歴にする」おすすめの方法ってありますか。親御さん塾の課金ゲームにならない分野で。

ひろゆき氏: スポーツをめちゃくちゃやらせるとか、ボランティア的なやつの団体に入れて何年もやって成果を出させるとか。お金がかからないような多様な経験はいくらでもできるので。一生懸命受験勉強を頑張って塾に入れようというよりは、むしろそっちの方が大学受験とか社会で受け入れられやすい可能性がありますよね。

あと、会社作るとか、アプリ作るとかも結構評価点数はまだ高いんじゃないですかね。会社作るって簡単で、登記だけなら7~8万円で作れます。

例えば、高齢者向けのこういう商品を作っていて、3期でそれなりに黒字で回ってますみたいになると、「あ、なんかすごいんじゃね」みたいになるんです。アイデアは大事で、リソースが足りてないご家庭は、もう他の家庭の戦い方を真似しちゃだめ。

孫氏: ただ、富裕層が節税対策で会社を作らせた場合は、大学側は「親が金出して作った会社」だとすぐわかるから、それは意味ない。ひろゆきさんがさっき言ったアプローチは、親が金持ちじゃないからこそ大学側に評価されるアプローチだと思います。

ひろゆき氏: 親の力をどれだけ排除して何をやってきたのかっていうのを見る傾向が、結構特に国公立の推薦は強い。親の会社の仕事の手伝いとか、医学部の推薦で親が医者だからやりたいって言った瞬間、落ちます。日本の大学はバカじゃないんで、親の力を排除しようと努力はしているはずです。

――ひろゆきさん、孫さん、ありがとうございました。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)