トランプ米政権がウクライナ和平を再び模索する中で、論評の多くは、ウクライナが和平合意で何を諦めなければならないかに集中している。米国の和平案の世界的な影響、特にそれがどのようにして核拡散の動機を生み出すかへの関心は、はるかに低い。和平合意が成立しなくても、トランプ政権のこのところの動きは、米国の核の傘を信頼すべきかどうかという、核を持たない国々が既に行っている議論を加速させかねない。ウクライナに領土のかなりの部分の割譲を求める圧力は、非核保有国に独自の核兵器開発を検討しようという気を起こさせるだろう。1990年代に重軍備だったウクライナを核放棄に導いたのは米国だ。ウクライナは米国による安全の保証と引き換えに核を放棄したが、その保証はその後ほごにされた。