【社内で一番嫌われる】“社内評論家”がやりがちなNG行動とは?
戦略コンサルやシリコンバレーの経営者、MBAホルダーには、共通点があった。「伝える内容を1つに絞り、1メッセージで伝えて、人を動かす」ということ。プレゼン・会議・資料作成・面接・フィードバックなど幅広い場面で成果を上げるノウハウをまとめた書籍『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』から一部抜粋して紹介する。

【社内で一番嫌われる】“社内評論家”がやりがちなNG行動とは?Photo: Adobe Stock

“社内評論家”とは?

 会社には、多かれ少なかれ、評論ばかりしている人たちがいる。陰では“評論家”と呼ばれて、まわりから煙たがられていることが多い。“社内評論家”の相手をするのは面倒だからだ。

“社内評論家”の相手をするのが面倒な理由

 社内評論家の相手をするのが面倒な理由は、議論していても物事がまったく前に進まないからだ。たとえば、次のような会話が典型だ。

リーダー:「今回のA社への訪問では、どんな共同プロジェクトを提案しようか?」
社内評論家:「A社とのミーティングって、いつも無駄にたくさん人が出てきますよね」
リーダー:「そうだね。で、なにを提案しようか?」
社内評論家:「A社との共同プロジェクトって、リスクがある感じがしますよね」
リーダー:「そうだね。で、なにを提案しようか?」
社内評論家:「そういえば、杉野さんがA社は契約が面倒だと言っていましたね」

 このような感じだ。社内評論家と話していても、評論家と呼ばれるだけあって、議論の量は増えるのだが、いつまでたっても議論が前に進んでいかない。

 結果として、時間だけを浪費し、なにも問題は解決しない。これが、社内評論家の相手をするのが面倒な理由だ。

“社内評論家”と議論しても進まないのは、そこに「メッセージ」がないから

 社内評論家と議論しても、なぜ前に進まないのか?

 それは、そこに「メッセージ」がないからだ。メッセージとは、誰かの「問い」への自分が考える「答え」を言葉にしたものだ。

 社内評論家は、誰かの問いを代弁して解説したり、誰かが出した仮の答えを横から採点や批評はするが、いつまでも自分自身の答えは言わないのだ。

 問いに答えを出そうとして集まって議論しているのに、問いに答えを言わないのだからなにも進むわけがないし、誰かの役に立つこともない。

 さきほどの例で言えば、リーダーの「今回のA社への訪問では、どんな共同プロジェクトを提案しようか?」という問いに対して、社内評論家はいろいろと発言はしているが、自分の答えはなにも言っていない。すなわち、そこに相手への「メッセージ」がないのだ。

 こうして、「メッセージ」を言わない人は、まわりから陰で相手をするのが面倒な社内評論家と思われていってしまう。

“社内評論家”と思われないためにすべき「たった一つのこと」

 まわりから陰で社内評論家と思われないためにすべきことは、たった一つだ。

 それは「相手の問いに答えること」だ。

 さきほどの例で言えば、リーダーの「今回のA社への訪問では、どんな共同プロジェクトを提案しようか?」という問いに対して、「無駄にたくさんの人」だ「リスク」だ「契約が面倒」などと答えにならないことをいろいろと言うのではなく、ストレートに答えるのだ。たとえば、次のように答える。

「まずは、共同でのセミナーイベントを提案しませんか?」

 これだけでよい。相手の問いにストレートに答えようとすると、自ずと答えはシンプルなものになる。こう言われたリーダーは自分の悩んでいる問いに対して、仮の答えをもらえたことになる。

 具体的な仮の答えがあると、それを叩き台として、よりよい案がないかを議論しやすくなる。こうして、リーダーは最終的に答えを決めて、みんなは訪問に向かっていけるだろうし、そのメッセージを言ってくれた人へのまわりからの評価は高まるだろう。

評論をするよりも「メッセージ」を届けよう

 評論は物理的には口を多く動かすので大変かもしれないが、心理的には楽だ。答えていない以上は、間違いようがない。なので、誰かから否定されることがない。

 このため、自分を安全地帯に置いておきたい人は評論をする。しかし、それで自分を守れて楽になったとしても、相手やまわりのなんの役にも立っていない。ただ他人の時間を奪ってしまい、そして、自分の評価を落とすだけだ。

 評論をするよりも、相手に「メッセージ」を届けよう。メッセージとは、相手の「問い」への自分が考える「答え」を言葉にしたものだ。あなたのメッセージは相手の問いに答えをもたらし、相手を一歩前に進めることができる。

 自分を安全地帯に置くために発言するのか、相手を一歩前に進めるために発言するのか。そこが、あなたの評価の分かれ道だ。

(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)