厨房に立つ料理人写真はイメージです Photo:PIXTA

2025年の全国企業倒産(法的整理・負債1000万円以上)は、12年ぶりに1万件超となる見通しだ。それでも増加を実感しにくいのは、大型倒産が減少し、小規模倒産が急増しているためである。中でも目立つのが飲食店の倒産だ。いま、なぜ飲食店の経営破綻が相次いでいるのか。(帝国データバンク 情報統括部 情報取材課長 阿部成伸)

企業倒産は12年ぶりの高水準
それでも増加の実感が少ないワケ

 2025年11月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は796件発生し、1-11月の累計件数は9380件となった。前年同期(9053件)を327件・3.6%上回り、年間件数は1万300件前後になるとみられる。1万件を超えれば、2013年(1万332件)以来、12年ぶりとなる。

 しかし、取材現場の印象とは異なり、倒産増加を実感している人は少ないのではないか。大きな要因は、社名や商品・サービスの知名度が高い上場企業や大型企業の倒産が減少し、負債額5000万円未満の小規模倒産が増加しているためだ。

 2013年と2025年(1~11月)の上場企業倒産、大型倒産(負債100億円以上)、小規模倒産(負債5000万円未満)、1社あたり負債額などを比較すると表の通りとなった。