「いつも、考えすぎて損してばかり!!」
日本人は礼儀正しくて、とても優秀……なのに、日々必要以上に思い悩んでいないだろうか?
「“究極の合理思考”を身につければ、もっと楽しくラクになる」――。数十億規模の案件に関わり、インド人部下オペレーションを経験したインド麦茶氏は、「常に自分中心」「短期志向」「無計画で今を生きている」ように見える彼らに「日本人が幸せを謳歌するための“ヒント”」を見出したという。
新刊『インド人は悩まない』では、人口14億・上位1%が富の40%以上を所有する超競争・過密・格差社会を生き抜く人々の「規格外の行動力」と「抜け目なさ」の秘密を紹介している。今回はその魅力の中から一部をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)
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「電車で大声で電話する外国人」なぜ?
訪日外国人旅行者の数は、2024年には、3600万人を超えた。これは10年前の約二倍だ。旅行者は、特定の街や観光地に行き、特定のルートで移動するので、日本人の体感としてはこの数字以上に訪日外国人が増えている感覚があるかもしれない。
旅行者の増加によって彼らによるマナー違反を指摘する声も増えてきた。あたなも、電車の中で大声で電話をしている外国人に出くわし、眉を顰めた経験もあるだろう。
「暗黙のルール」は、伝わらない
日本における外国人のマナーについて考える時、我々日本人として認識しておかなければならないことは、日本社会の暗黙のルールは、訪日外国人にとっては「言ってくれないとよく分からない」し、感じ取るのはとても難しいということだ。
“ポジティブリスト”と“ネガティブリスト”という捉え方で彼らの振る舞いを考えてみると分かりやすい。前者は、「許可されたこと以外はやってはいけない」、後者は、「禁止されているもの以外はやっていい」という考え方だ。どちらかというと日本人は、前者の頭で生活しており、周囲を見渡してそこで許されていることを理解し、それ以外のことはやらずにおとなしくしている。
一方で、世界を見渡すと後者が主流の文化圏で生きている人もいる。彼らが、そのままの感覚で日本でもふるまってしまう結果、悪気はなくても日本社会にとって常識外れのマナー違反野郎になってしまう。
「禁止されるもの以外はやっていい」思考のインド
私が住むインドも、どちらかというとネガティブリスト(禁止されているもの以外はやっていい)の考え方の国だ。
そんな国で人々を管理する効果てきめんな方法は、「ルールを文字にして、見えるところに張り紙をする」というやり方だ。アナウンスしたり、市民が互いに指摘しあったりするよりも、張り紙が一番効く。なぜならば、張り紙は、①権威のあるルールを、②明文化された状態で、③目の前に表示する、三つの効果を同時に発揮するからだ。
全く違う常識の人々を、暗黙の了解や、「みんなと同じように」というような枠組みで統制するのは無理があるし相手も納得感がない。逆に、しっかりした権威によるルール設定と、損得勘定に照らしたときにルールを守るほうが得であるという状況を作り出して主張していけば、彼らも極めて素直に従うようになる。
「お察し」だけでは伝わらない
人の行動を、雰囲気や空気で制御せずに、合理的にコントロールしていくこのような手法は、インドだけでなくシンガポールやドバイなど、第三世界との玄関口になっている国々で昔から当たり前のように実践され、法外な罰金まで設定されている。
日本人にとって窮屈な話かもしれないが、文化が相いれない者同士で話を通じさせようと思えば、人の善意や互いに「お察し」することにあぐらをかかず、自らの要望を強く主張していく思考法を身に着けていく必要がある。この考え方は、これから必要性が増すことはあっても減ることはない。
特に日本人は暗黙のルールを「お察し」することにがんじがらめになるあまり、「動けない」「行動に移せない」その結果「思い悩んでしまう」人が多い印象だ。本書『インド人は悩まない』では、この悩みを解消するための、インド民の「悩まない思考」について、実践的に紹介していく。
(本記事は『インド人は悩まない』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)









