「うちの子、語彙が少ないのでは?」「自分の意見をちゃんと言えない」‥‥‥。スマホやSNSの普及により、子どもの「言葉にする力」の衰えを危惧する声が増えています。そんな中、『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)等のべストセラーで知られる文章の専門家・山口拓朗氏が、待望のこども版『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社)を上梓しました。同書は、マンガと「言葉を使ったゲーム」を通じて、子ども(小学校低学年~高学年)が楽しく言語化能力を身につけられる画期的な一冊です。本連載では、本書をベースに親御さん向けの記事として編集・書き下ろしし、「子どもの言語化力」を高める秘密を紐解いていきます。

【AI時代の生存戦略】これからの子どもにとって最も大切な能力とは?Photo: Adobe Stock

言葉を持たない人はAIも使えない

 これからの時代、AIの進化は止まりません。しかし、だからといって「人間は言葉を使えなくていい」とはなりません。

 むしろ逆です。

 AI時代において、言語化力はますます重要になります

 なぜなら、AIを使いこなすためには、的確な指示(プロンプト)を出す「言語化力」が必要だからです。自分の言葉を持っていない人は、AIに何をさせるべきか指示もできず、AIから出てきた回答が正しいのか、自分にとって有益なのかを読み解くこともできません

 言葉を持たない人は、AIという便利な道具を使うことすらできないのです。

「オリジナリティ」は自分の言葉に宿る

 AIは膨大なデータから「それらしい答え」を出すのは得意ですが、個人の感情や独自の視点に基づいた表現は、人間にしかできません。自分の気持ちを話し、自分の意見をちゃんと言えること。

 そうしたオリジナリティのある言葉を持てるかどうかが、AIに代替されない人材になるための分岐点です。

読書量も増え、世界が広がる

 言語化力を高め、語彙力が伸びてくると、理解できる言葉が増えるため、読書も楽しくなります。本を読み、新たな知識に触れ、それをまた自分の言葉でアウトプットする。

 この好循環に入った子どもは、主体的・積極的に行動できるようになります

 AIに使われるのではなく、AIを使いこなし、自分の人生を切り拓く。

 そのための最強の武器こそが「言語化力」なのです。親御さんはぜひ、その力を育むための導き手となってあげてください

 *本記事は、山口拓朗著『12歳までに身につけたい「ことば」にする力 こども言語化大全』(ダイヤモンド社刊)の「保護者向け はじめに」に大幅に加筆し、編集したものです。